

かぜは、主にウイルスによる上気道の感染症で、のどの痛み、鼻水、咳、痰、発熱、だるさなどが現れます。咳や痰はつらい症状ですが、気道から異物や分泌物を排出する防御反応でもあります。そのため、咳を止める薬、痰を出しやすくする薬、鼻水や発熱など複数の症状を和らげる総合感冒薬は、症状と病状に応じて使い分けられます。
抗菌薬は細菌に作用する薬で、通常のウイルス性かぜを早く治す薬ではありません。肺炎、細菌性の副鼻腔炎、百日咳など、細菌感染が疑われる場合に医師が必要性を判断します。不要な抗菌薬の使用は、副作用や薬剤耐性菌の増加につながるため、自己判断での使用や余った薬の流用は避けます。
| 種類 | 主な用途 | 一般名や製品例 |
|---|---|---|
| 中枢性鎮咳薬 | 感冒、気管支炎などに伴う咳を抑える | デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、メジコン |
| 鎮咳去痰薬 | 咳を抑え、痰を出しやすくする | チペピジンヒベンズ酸塩、アスベリン |
| 去痰薬 | 粘り気のある痰を出しやすくする | カルボシステイン、ムコダイン |
| その他の去痰薬 | 気道分泌物の排出を助ける | アンブロキソール、ブロムヘキシンなど |
| 総合感冒薬 | 発熱、痛み、鼻水、咳など複数の症状を一時的に和らげる | 解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬などの配合製剤 |

デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、咳中枢に作用して咳を抑える鎮咳薬です。感冒、急性・慢性気管支炎、気管支拡張症、肺炎、肺結核、上気道炎などに伴う咳に用いられます。咳が強く眠れない、会話や食事が難しいといった場合に、症状を軽減する目的で処方されることがあります。
一方で、痰を十分に出す必要がある場合に咳を強く抑えると、分泌物が気道に残る可能性があります。咳の性質、痰の量・色、息苦しさ、発熱の経過を診察で確認することが重要です。眠気、めまい、吐き気などが起こることがあり、抗うつ薬の一部などとの併用では相互作用に注意が必要です。
チペピジンヒベンズ酸塩は、咳を抑える作用に加え、痰を出しやすくする作用を持つとされる鎮咳去痰薬です。気道の炎症や刺激によって続く咳に対して用いられます。咳を完全に止めることだけでなく、夜間の咳、会話の妨げとなる咳など、生活への影響を軽くすることを目的に使われる場合があります。
眠気や胃腸症状などに注意が必要です。乳幼児や高齢者、呼吸器の病気がある人では、咳を抑えることの利点と痰の排出への影響を医師が評価します。
カルボシステインは去痰薬で、気道の粘液の性質を整え、粘り気のある痰を出しやすくする薬です。慢性気管支炎、気管支拡張症、慢性副鼻腔炎などで使われます。副鼻腔炎では、鼻の奥にたまる粘り気のある分泌物を排出しやすくする目的でも用いられます。
去痰薬は、原因となる感染症そのものを治す抗菌薬ではありません。黄色や緑色の痰があるだけで細菌感染と決まるわけではなく、発熱、呼吸状態、画像検査、経過などから医師が判断します。
総合感冒薬は、発熱や痛みを和らげる成分、鼻水を抑える成分、咳を抑える成分などを組み合わせ、かぜの症状を一時的に軽くする薬です。ウイルスを直接排除する薬ではありません。複数の市販薬や処方薬を併用すると、アセトアミノフェン、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬などが重複するおそれがあります。
抗菌薬は、細菌感染に対して使う薬です。かぜの多くはウイルスが原因であり、抗菌薬を常に必要とするわけではありません。医師が処方した抗菌薬も、他人に渡したり、前回の残りを自己判断で使ったりしてはいけません。