網膜静脈分枝閉塞症の診断と治療・経過観察の実践

網膜静脈分枝閉塞症の診断と治療・経過観察の実践

網膜静脈分枝閉塞症の病態、眼底・OCT所見、抗VEGF療法とレーザー治療の役割を医療従事者向けに解説します。黄斑浮腫と網膜虚血を見分け、全身管理と継続的な経過観察につなげるには、何を押さえるべきでしょうか?

網膜静脈分枝閉塞症の基礎知識と診療の核心ガイド

網膜静脈分枝閉塞症の診療を押さえる
黄斑浮腫と虚血を区別する

視力低下の原因となる黄斑浮腫と網膜虚血を区別し、眼底検査とOCTを組み合わせて病態を評価します。

治療は合併症に合わせて選ぶ

視力低下を伴う黄斑浮腫には抗VEGF療法を中心に検討し、新生血管にはレーザー治療を適切に選択します。

全身管理と継続受診を支える

高血圧や脂質異常症などを確認し、浮腫の再燃や新生血管の発生を見逃さない継続的な診療につなげます。


網膜静脈分枝閉塞症とは:閉塞部位と視力障害の仕組み

主な症状は、視力低下、ものがゆがんで見える変視症、視野の一部が暗い・欠けるといった視野異常です。病変が黄斑に及ぶかどうかによって症状の強さは変わります。また、虚血領域に生じた新生血管は脆弱で、硝子体出血や牽引性網膜剥離の原因になります。初診時の視力だけで重症度を判断せず、黄斑の状態と末梢網膜の虚血を分けて評価する必要があります。
nichigan.or(https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=40)
日本眼科学会:網膜静脈分枝閉塞症


診断と検査:眼底所見・OCT・蛍光眼底造影の役割

項目 基準・内容 備考
問診・視力測定 発症時期、見え方の変化、矯正視力、既往歴を確認する 初診時の状態を記録し、その後の機能的な変化を比較する
眼底検査・眼底写真 出血の分布、静脈の変化、浮腫、新生血管などを確認する 閉塞した静脈の灌流領域と病変の対応を見る
OCT 黄斑浮腫の有無・程度、網膜内液、中心窩の構造を評価する 初診時の診断に加え、再燃と治療反応の判定に用いる
蛍光眼底造影 漏出、毛細血管無灌流領域、新生血管を評価する 虚血の把握やレーザー治療の検討に役立つ
全身評価 血圧、血糖、血算などを確認し、脂質異常症等の評価につなげる 病歴や年齢、両眼性、全身症状に応じて追加検査を選ぶ


黄斑浮腫の治療:抗VEGF療法をどう位置付けるか

  • 治療開始の判断:黄斑浮腫の存在だけでなく、視力低下や変視症、中心窩への影響を合わせて確認します。
  • 治療効果の評価:OCTによる形態的改善と、矯正視力・自覚症状による機能的改善を分けて記録します。
  • 追加投与の判断:浮腫の残存・再燃と視機能を追跡し、使用薬剤の投与方法に沿って治療を個別化します。
  • 患者への説明:1回で終了するとは限らず、病状に応じた追加注射と継続受診が必要になり得ることを初回から共有します。

硝子体内注射では、まれながら重篤な視力障害につながる眼内炎が重要な合併症です。注射前の説明と感染予防の手順を徹底し、注射後に強い眼痛、充血、急な見え方の悪化などがあれば、次の予約日を待たず施行施設へ連絡するよう具体的に伝えます。「短時間で終わる外来処置」であることと、「合併症への対応が不要」であることは区別すべきです。
nichigan.or(https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/item03.html)
日本眼科学会:抗VEGF治療


レーザー治療と手術:浮腫と新生血管で目的を分ける

全身管理と経過観察:再燃・晩期合併症を見逃さない

患者には、黄斑浮腫が軽減しても再燃し得ること、視力が安定していても新生血管などの確認が必要な場合があることを説明します。急な視力低下、飛蚊症の急増、視野の暗がりの拡大など、新しい症状が出た場合は予約日を待たず眼科へ連絡する行動を共有します。とくに突然の見え方の異常は、既知のBRVOの変化と自己判断せず、硝子体出血などの合併症を含めて再評価することが重要です。
nichigan.or(https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=40)