

胃もたれ、食後の膨満感、吐き気、嘔吐、腹部のけいれん性の痛みなどに対して使われる薬には、胃や腸の動きを整える消化管運動改善薬、吐き気を抑える制吐薬、消化管のけいれんを和らげる鎮痙薬があります。症状は似ていても、機能性ディスペプシア、胃腸炎、薬の副作用、片頭痛、妊娠、がん薬物療法、腸閉塞、胆石、心臓病など原因は幅広いため、薬の選択には診断が重要です。
特に、強い腹痛、腹部の張り、便もガスも出ない、吐血、黒い便、繰り返す嘔吐、意識がぼんやりする、胸痛を伴う吐き気は、単なる胃腸症状ではない可能性があります。市販薬や以前の処方薬で様子を見るのではなく、早めに医療機関へ相談する必要があります。
| 種類 | 主な用途 | 一般名や製品例 |
|---|---|---|
| 消化管運動改善薬 | 機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、早期満腹感など | アコチアミド塩酸塩水和物、アコファイド |
| ドパミン受容体拮抗型制吐薬 | 消化器疾患、薬剤投与などに伴う悪心・嘔吐 | メトクロプラミド、プリンペラン |
| 5-HT3受容体拮抗型制吐薬 | 抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐 | オンダンセトロン、ゾフラン |
| 鎮痙薬 | 胃腸・胆道・尿路などのけいれん性疼痛 | ブチルスコポラミン臭化物、ブスコパン |

アコチアミド塩酸塩水和物は、機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感を対象とする消化管運動改善薬です。機能性ディスペプシアとは、胃痛や胃もたれなどの症状があるにもかかわらず、内視鏡などで症状を十分に説明できる病気が見つからない場合に考えられる病態です。
アコチアミドは、胃の運動や胃から十二指腸へ内容物を送り出す働きに関係する神経伝達を整えることで、食後のつらい膨満感などを改善することを目的とします。胸やけが主体の逆流性食道炎、潰瘍、胃がんなどに一律に使う薬ではないため、持続する症状では検査や診察が必要です。
メトクロプラミドは、脳の嘔吐に関係する部位にあるドパミン受容体を遮断し、悪心・嘔吐を抑える薬です。加えて、胃腸の運動を促す方向に働くため、胃内容物の停滞に関係する吐き気などで使われることがあります。
注意すべき副作用として、手足の震え、筋肉のこわばり、首や目が意図せず動く急性ジストニア、落ち着かずじっとしていられないアカシジアなどの錐体外路症状があります。高齢者や小児では特に注意が必要な場合があり、異常な動き、強いそわそわ感、発熱と筋肉のこわばりがあれば速やかに医療者へ連絡します。
オンダンセトロンは、セロトニン5-HT3受容体を遮断する制吐薬です。日本では、シスプラチンなど強い悪心・嘔吐を起こす抗悪性腫瘍剤の投与に伴う消化器症状に用いられます。一般的な胃腸炎、二日酔い、妊娠中のつわりに対して標準的に自己使用する薬ではありません。
注射剤のほか、口腔内崩壊錠、口腔内崩壊フィルムなどの製剤があります。便秘、頭痛、消化管運動の低下などに注意が必要です。また、心電図でQT間隔が延長しやすい人や、関連する薬を使用している人では不整脈のリスクを確認します。
鎮痙薬は、胃腸、胆道、尿路などの平滑筋のけいれんを抑え、差し込むような腹痛を和らげる目的で使われます。ブチルスコポラミン臭化物は抗コリン作用を持ち、腸管の過剰な動きを抑えます。
口の渇き、かすみ目、便秘、排尿しにくさ、動悸などが起こることがあります。閉塞隅角緑内障、前立腺肥大による排尿障害、腸閉塞が疑われる場合などでは使えないことがあるため、腹痛の自己治療を続けるのは危険です。