心不全・狭心症の薬の種類と用途

心不全・狭心症の薬の種類と用途

心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身へ十分な血液を送り出しにくくなった状態です。息切れ、むくみ、急な体重増加、横になると苦しい、疲れやすいなどがみられます。狭心症は、心臓の筋肉へ血液を送る冠動脈が狭くなり、心筋が一時的に酸素不足になる病気で、胸の圧迫感や締め付けられるような痛みを起こします。

心不全・狭心症の薬とは

心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身へ十分な血液を送り出しにくくなった状態です。息切れ、むくみ、急な体重増加、横になると苦しい、疲れやすいなどがみられます。狭心症は、心臓の筋肉へ血液を送る冠動脈が狭くなり、心筋が一時的に酸素不足になる病気で、胸の圧迫感や締め付けられるような痛みを起こします。
心不全・狭心症の薬は、心臓の負担を減らす、血管を広げる、脈拍を整える、体内にたまった余分な水分を減らすなど、それぞれ異なる役割を持ちます。薬は症状の有無だけでなく、心臓の収縮力、血圧、腎機能、血液中のカリウム値、不整脈、冠動脈の状態などを踏まえて選ばれます。


主な種類と用途

種類 主な用途 一般名や製品例
ARNI 慢性心不全。心臓への負担を減らし、予後改善を目指す サクビトリルバルサルタン、エンレスト
β遮断薬 慢性心不全、頻脈性不整脈、高血圧など。適応は成分ごとに異なる ビソプロロールフマル酸塩、メインテート、ビソノ
硝酸薬 狭心症発作時または発作予防。血管を広げて心臓の酸素需要を減らす ニトログリセリン、ニトロペン、ミオコールスプレー
カルシウム拮抗薬 狭心症、高血圧。冠動脈や末梢血管を広げる アムロジピン、ジルチアゼムなど
利尿薬 心不全に伴うむくみ、肺うっ血の改善 フロセミド、トラセミドなど


種類ごとの作用・役割の違い

サクビトリルバルサルタン:心臓と血管への負担を減らす



サクビトリルバルサルタンは、ネプリライシン阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を組み合わせたARNIと呼ばれる薬です。サクビトリルは、血管を広げたり尿やナトリウムの排出を促したりする体内物質の分解を抑える方向に働きます。バルサルタンは、血管を収縮させるアンジオテンシンIIの働きを抑えます。
日本では慢性心不全を対象とする製剤があります。血圧低下、腎機能の変化、高カリウム血症などに注意が必要で、開始時や増量時には血圧、腎機能、血清カリウム値などを確認します。ACE阻害薬から切り替える場合などには注意すべき間隔があるため、自己判断で他の降圧薬と置き換えることはできません。


ビソプロロール:心拍数と心臓の負担を抑える

ビソプロロールはβ遮断薬です。交感神経の刺激を受けるβ1受容体に主に作用し、心拍数や心臓の収縮の強さを抑えることで、心臓の酸素消費や負担を減らします。慢性心不全、高血圧症、頻脈性心房細動などで用いられることがありますが、適応は製剤ごとに異なります。
脈が遅くなりすぎる徐脈、血圧低下、めまい、疲労感、手足の冷えなどに注意します。喘息や重い慢性閉塞性肺疾患では、気管支への影響を考慮する必要があります。突然中止すると心拍数や血圧が急に上がり、狭心症が悪化するおそれがあるため、変更は医師の管理下で行います。


ニトログリセリン:狭心症発作時の血管拡張薬

ニトログリセリンは硝酸薬で、体内で一酸化窒素に関わる作用を示し、静脈や冠動脈などを広げます。心臓へ戻る血液量を減らして心臓の負担を軽くし、狭心症発作に伴う胸痛を和らげる目的で使われます。舌下錠、スプレー、貼付剤、注射剤などがあり、発作時の薬と予防目的の薬では剤形・使われ方が異なります。
硝酸薬は、勃起機能障害治療薬などのPDE5阻害薬と併用すると、危険な血圧低下を起こすおそれがあります。ニトログリセリンを処方されている人は、服用中の薬や市販薬を受診先・薬局で必ず伝えます。


剤形と使われる場面

  • 錠剤・粒状錠:サクビトリルバルサルタンなど、心不全の継続治療で用いられます。
  • 錠剤:ビソプロロールなど、脈拍や血圧を長期に管理する目的で使われます。
  • 舌下錠・口腔内スプレー:ニトログリセリンなど。狭心症発作時に速やかな作用を期待して用いられる製剤です。
  • 貼付剤:硝酸薬の一部で、発作予防などに使われます。貼付部位の皮膚症状や貼り忘れ・重複に注意します。
  • 注射剤:急性心不全、重い狭心症、集中治療などで、血圧や心電図を監視しながら使われます。


共通の注意点

  • 胸痛が数分以上続く、安静でも改善しない、冷汗・吐き気・息苦しさを伴う場合は、心筋梗塞を含む緊急疾患の可能性があり救急要請を検討します。
  • 心不全では、急な体重増加、むくみの悪化、夜間の息苦しさ、横になると咳が出るなどが悪化のサインとなることがあります。
  • 心不全薬・狭心症薬でめまい、立ちくらみ、失神がある場合は、血圧低下や不整脈の可能性があり医療者へ相談します。
  • 硝酸薬とPDE5阻害薬は危険な相互作用があります。併用可否を必ず確認します。
  • 薬を急に中止したり、むくみを理由に水分・塩分・利尿薬を自己調整したりしません。


参考資料・添付文書


【第2類医薬品】スマイル40プレミアムDX 15mL