パーキンソン病・認知症の薬の種類と用途

パーキンソン病・認知症の薬の種類と用途

パーキンソン病と認知症は、いずれも神経系に関わる病気ですが、使われる薬の目的は異なります。パーキンソン病では、動作が遅い、筋肉がこわばる、手足が震える、歩きにくいといった症状に対し、脳内で不足するドパミンの働きを補ったり高めたりする薬が用いられます。認知症では、記憶や判断力の低下に対して、神経伝達に

パーキンソン病・認知症の薬とは

パーキンソン病と認知症は、いずれも神経系に関わる病気ですが、使われる薬の目的は異なります。パーキンソン病では、動作が遅い、筋肉がこわばる、手足が震える、歩きにくいといった症状に対し、脳内で不足するドパミンの働きを補ったり高めたりする薬が用いられます。認知症では、記憶や判断力の低下に対して、神経伝達に関わる薬を使い、症状の進行や生活への影響を評価します。
薬は病気そのものを完全に治すものではなく、症状の軽減や生活機能の維持を目指して使われます。病状の進み方、転倒、幻覚、眠気、排尿障害、飲み込みの状態、介護状況などを確認しながら、医師が薬と剤形を調整します。本人の状態変化を家族や介護者が記録・共有することも、適切な治療につながります。


主な種類と用途

種類 主な用途 一般名や製品例
レボドパ配合剤 パーキンソン病、パーキンソン症候群の運動症状 レボドパ・カルビドパ、ネオドパストン、メネシット
ドパミン関連薬 パーキンソン病の症状改善。作用点は成分で異なる プラミペキソール、ロチゴチン、セレギリンなど
コリンエステラーゼ阻害薬 アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症など。適応は成分で異なる ドネペジル、アリセプト
NMDA受容体拮抗薬 アルツハイマー型認知症 メマンチン、メマリー


種類ごとの作用・役割の違い

レボドパ配合剤:ドパミンの材料を脳に届ける



レボドパは、脳内でドパミンに変換される物質です。ドパミンそのものは脳へ届きにくいため、レボドパを用います。カルビドパは、脳以外の場所でレボドパが分解されるのを抑え、より多くを脳へ届かせる目的で配合されます。レボドパ・カルビドパ水和物錠は、パーキンソン病およびパーキンソン症候群を効能・効果としています。
治療が長期になると、薬の効く時間が短く感じられるウェアリングオフや、意思と関係なく手足・体が動くジスキネジアが生じることがあります。幻覚、眠気、立ちくらみ、吐き気なども確認が必要です。症状の変化を理由に自己判断で服薬を止めると、動けなくなるなどの問題が起こり得るため、変更は医師と相談して行います。


ドネペジル:アセチルコリンの働きを保つ

ドネペジルは、アセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼを阻害する薬です。アセチルコリンは、記憶や注意などに関係する神経伝達物質であり、その働きを保つことを狙います。日本ではアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症に用いられる製剤があり、適応や使用条件は製剤で確認します。
吐き気、食欲低下、下痢、徐脈、失神、興奮、不眠などに注意が必要です。認知症の人では、薬の管理を本人だけで行うことが難しい場合があります。飲み忘れや重複服用を防ぐため、家族・介護者・薬局と管理方法を相談することが重要です。


メマンチン:過剰な興奮性神経伝達を抑える

メマンチンは、NMDA受容体拮抗薬です。NMDA受容体は、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が関わる受容体の一つで、過剰に刺激されると神経細胞への負担につながると考えられています。メマンチンはアルツハイマー型認知症に用いられます。
めまい、眠気、便秘、頭痛などがみられることがあり、開始初期には転倒に注意が必要です。腎機能が低下している場合には、医師が状態を確認して使用します。ドネペジルとは作用の仕組みが違い、併用される場合もありますが、全ての人に必要という意味ではありません。


剤形と使われる場面

  • 錠剤・OD錠:レボドパ配合剤、ドネペジル、メマンチンなどに用いられます。OD錠は口の中で崩れますが、寝たまま水なしで服用することは避ける必要があります。
  • 細粒・内用液:嚥下機能が低下した人などで選択されることがあります。
  • 貼付剤:パーキンソン病治療薬や認知症治療薬の一部にあります。貼付部位の皮膚症状、貼り忘れ・重複貼付に注意します。


共通の注意点

  • パーキンソン病の薬では、眠気、突発的な睡眠、立ちくらみ、幻覚、衝動制御の変化に注意が必要な成分があります。
  • 認知症治療薬は、認知機能だけでなく食欲、体重、脈拍、睡眠、転倒、行動の変化を含めて評価します。
  • 急な混乱、意識低下、片側の麻痺、ろれつが回らない、転倒後の強い頭痛は、病気の進行と決めつけず、脳卒中や感染症なども考えて早急に受診します。
  • 服用・貼付の管理は、家族、介護者、訪問看護、薬局などと連携して、重複や飲み忘れを防ぎます。
  • 薬の中止や変更は、症状悪化や副作用を見ながら行う必要があるため、自己判断で行いません。


参考資料・添付文書

医療情報:薬品ごとの詳しい解説


【第3類医薬品】ペラックT錠a 54錠