

薬品情報|感染症・予防
抗ウイルス薬は、ウイルスが細胞の中で増える過程を抑える薬です。ウイルスには、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、B型・C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、新型コロナウイルスなど多くの種類があり、薬はウイルスごとに異なります。あるウイルスに効く薬が、別のウイルス感染症に効くとは限りません。
抗ウイルス薬は、感染初期に使用時期が重要なもの、長期にわたりウイルス増殖を抑え続けるもの、複数の薬を組み合わせる必要があるものなど、治療の考え方が大きく異なります。発熱やのどの痛みだけで薬を選ぶのではなく、検査、重症化リスク、妊娠、腎・肝機能、併用薬を踏まえて、対象の感染症に適した薬を用います。
| 種類 | 主な用途 | 一般名や製品例 |
|---|---|---|
| 抗ヘルペスウイルス薬 | 単純疱疹、帯状疱疹、水痘など | アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル |
| 抗インフルエンザ薬 | A型・B型インフルエンザの治療・予防。製品ごとに適応確認 | オセルタミビル、バロキサビル、ザナミビル |
| B型肝炎治療薬 | B型慢性肝炎・B型肝炎ウイルスの増殖抑制 | エンテカビル、テノホビル製剤 |
| 抗HIV薬 | HIV感染症の治療。治療では他の抗HIV薬と組み合わせて用いる製剤がある | エムトリシタビン・テノホビルアラフェナミド配合剤(デシコビ) |
| 抗SARS-CoV-2薬 | 重症化リスクを有する患者などにおけるCOVID-19治療 | ニルマトレルビル・リトナビル、エンシトレルビルなど |
アシクロビルは、ヘルペスウイルスのDNA複製を抑える薬です。単純疱疹、帯状疱疹、水痘などで使用されます。口唇に水疱ができる単純疱疹、体の片側に痛みを伴う発疹が出る帯状疱疹などで用いられますが、症状や病変の部位によって内服、注射、外用などの選択が異なります。腎機能が低下している場合には体内に薬がたまりやすく、意識障害などの副作用につながるおそれがあるため注意が必要です。
オセルタミビルは、インフルエンザウイルスが感染細胞から外へ出る際に必要なノイラミニダーゼという酵素を阻害します。治療では、発症からの時間、症状の程度、年齢、基礎疾患、妊娠などを踏まえて使用が検討されます。インフルエンザが疑われる発熱時に、残っている薬を自己判断で使うのではなく、流行状況や検査結果を含めて診察を受けることが重要です。
エンテカビルは、B型肝炎ウイルスのDNA合成を抑える核酸アナログ製剤です。B型慢性肝炎などで長期にウイルス増殖を抑え、肝炎の進行を抑えることを目指します。自覚症状が少なくても、血液検査、肝機能、HBV DNA量、肝臓の線維化などを定期的に確認します。自己判断で中止するとB型肝炎が再燃・悪化することがあるため、治療の継続・変更は専門医と相談して行います。
デシコビは、エムトリシタビンとテノホビルアラフェナミドフマル酸塩を含む配合剤です。HIV感染症の治療では、他の抗HIV薬と組み合わせて用いられます。対象者の検査、腎機能・B型肝炎ウイルス感染の確認、定期フォローが前提です。単独でHIVを治す薬ではなく、処方目的に沿った継続的な管理が必要です。
COVID-19治療薬は、ウイルスの増殖に必要な酵素を阻害する内服薬などがあります。対象となる年齢、重症化リスク、発症からの期間、腎・肝機能、併用薬により使用可否が異なります。特にリトナビルを含む製剤は相互作用が多いため、処方薬だけでなく市販薬やサプリメントも確認します。
アシクロビルには錠剤、顆粒、注射剤、外用剤、眼軟膏などがあります。オセルタミビルにはカプセル、ドライシロップなどがあり、年齢や嚥下状態により選ばれます。エンテカビルやデシコビは内服錠です。抗HIV薬は服薬継続が特に重要であり、飲み忘れ、相互作用、治療歴を専門チームが管理します。COVID-19の内服治療薬も製品により剤形・適応が異なります。
C型肝炎では、ウイルスの増殖に必要なNS3/4Aプロテアーゼ、NS5A、NS5Bポリメラーゼなどを標的にする直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が用いられます。対象となるウイルス型、肝機能、腎機能、過去の治療歴、耐性、併用薬を確認してレジメンを選択します。サイトメガロウイルス(CMV)では、ガンシクロビルなどの治療薬のほか、レテルモビルのように移植患者におけるCMV感染症の発症抑制を目的とする薬があります。CMV薬は治療と予防で役割が異なるため、移植後の状態や検査結果に基づく専門的な判断が必要です。MSD「プレバイミス」電子添文改訂のお知らせ