

抗不安薬は、強い不安、緊張、焦燥感、身体症状を伴う不安などに対して用いられる薬です。一般的にはベンゾジアゼピン系の薬がよく知られていますが、作用の仕組みが異なるタンドスピロンのような薬もあります。不安は、仕事や生活上のストレスだけでなく、うつ病、不安症、睡眠障害、甲状腺疾患、心臓や呼吸器の病気、薬やカフェインなどの影響によっても生じます。
薬は不安のつらさを軽減する一つの手段ですが、症状の原因を評価し、必要に応じて精神療法、環境調整、睡眠・生活習慣への対応、ほかの治療と組み合わせることが重要です。抗不安薬には眠気、ふらつき、依存・離脱などの注意点があるため、自己判断で増量・中止・他人との共有をしてはいけません。
| 種類 | 主な用途 | 一般名や製品例 |
|---|---|---|
| チエノジアゼピン系 | 不安・緊張、睡眠障害など。ベンゾジアゼピン系に近い作用を持つ | エチゾラム、デパス |
| ベンゾジアゼピン系 | 神経症における不安・緊張など | ロフラゼプ酸エチル、メイラックス |
| セロトニン1A受容体作動薬 | 神経症における不安・緊張など | タンドスピロン、セディール |
| 関連する治療薬 | 不安症やうつ病などの背景疾患に対する治療 | 抗うつ薬など。適応は薬ごとに異なる |

エチゾラムはチエノジアゼピン系薬剤で、ベンゾジアゼピン受容体に関わる作用を持ちます。日本では、神経症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害、うつ病における不安・緊張・睡眠障害、心身症における身体症候・不安・緊張・睡眠障害などを効能・効果とする製剤があります。ただし、処方時には診断、症状、ほかの薬、年齢などを総合して判断されます。
眠気、注意力・集中力・反射運動能力の低下、ふらつきなどが起こることがあります。また、継続使用中に急に中止すると、不安、不眠、振戦などの離脱症状が現れる可能性があります。依存性にも注意が必要で、処方された期間・方法を守ることが大切です。
ロフラゼプ酸エチルはベンゾジアゼピン系の抗不安薬です。神経症における不安、緊張、抑うつ、睡眠障害などに用いられます。体内で活性代謝物に変換される特徴があり、作用が長く続く傾向があります。そのため、服用後の眠気、ふらつき、翌日への影響に注意が必要です。
高齢者では転倒や骨折につながることがあり、用量や継続の必要性は慎重に評価されます。ほかの中枢神経抑制薬、アルコール、鎮痛目的のオピオイドなどとの併用では、鎮静作用が強まる可能性があります。
タンドスピロンは、セロトニン5-HT1A受容体に作用する抗不安薬です。ベンゾジアゼピン系とは異なる作用機序を持ち、神経症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害、心身症における身体症候・不安・緊張・抑うつ・睡眠障害などに用いられます。薬の効き方や副作用の出方には個人差があり、即時に不安を消すことだけを目的として自己調整する薬ではありません。
眠気、めまい、ふらつき、吐き気などがみられることがあります。ほかの精神神経用薬や、代謝に影響する薬との併用では注意が必要な場合があるため、処方薬だけでなく市販薬・サプリメントも含めて医療者に伝えます。
抗不安薬は「不安が出たら自由に追加する薬」ではありません。特にベンゾジアゼピン系・類似の薬は、使い方によって眠気や依存のリスクが変わります。処方内容に疑問がある場合は、飲み方を変える前に処方医または薬剤師へ確認します。