

薬品情報|検査・処置・救急
放射性医薬品は、放射線を出す放射性同位元素を含む医薬品です。体内の特定の臓器や病変に集まりやすい性質を利用し、画像検査で病気の位置や働きを調べる「診断用」と、放射線によって病変を治療する「治療用」に大きく分けられます。診断と治療では目的、放射能量、管理方法、受ける際の注意点が異なります。
代表的な診断用放射性医薬品には、ブドウ糖に似たフルデオキシグルコース(18F)があります。PET検査で、がん、炎症、心臓・脳の代謝などを調べる際に使われます。治療用では、甲状腺に集まる性質を利用するヨウ化ナトリウム(131I)があり、甲状腺機能亢進症や甲状腺がんに対する内用療法に使われます。
| 種類 | 主な用途 | 一般名や製品例 |
|---|---|---|
| PET診断用薬 | がん、炎症、心臓・脳の糖代謝などを画像化する | フルデオキシグルコース(18F)(FDG) |
| SPECT・シンチグラフィ用薬 | 骨、心筋、脳、肺、腎臓、甲状腺などの機能・分布を評価する | テクネチウム99m標識製剤、ヨウ素123標識製剤など |
| 甲状腺治療用放射性医薬品 | 甲状腺機能亢進症、甲状腺がん・転移巣を治療する | ヨウ化ナトリウム(131I)カプセル |
| がん治療用放射性医薬品 | 骨転移や特定の受容体を持つ腫瘍への内用放射線治療 | ラジウム223製剤、ルテチウム177標識製剤など |
| 治療計画・検出補助薬 | 放射線治療や核医学検査の計画・病変探索を補助する | 目的により異なる |
フルデオキシグルコース(18F)は、ブドウ糖に似た構造を持つ放射性医薬品です。細胞がブドウ糖を取り込む性質を利用して、PET装置で体内の分布を画像化します。がん細胞はブドウ糖代謝が活発なことが多いため、がんの広がり、再発、治療効果の評価に使われることがあります。ただし、炎症や感染症の部位、筋肉、褐色脂肪などにも集積することがあり、PET画像だけでがんと断定することはできません。CT、MRI、病理検査などと合わせて判断します。
骨シンチグラフィ、心筋血流シンチグラフィ、脳血流SPECTなどで使われる診断用放射性医薬品は、臓器ごとの性質に合わせて設計されています。たとえば骨に集まりやすい薬、心筋血流を反映しやすい薬、脳の血流を反映しやすい薬などがあります。検査用の放射性医薬品は、診断に必要な情報を得ることが目的であり、がんを治療する量の放射線を投与するものではありません。
ヨウ化ナトリウム(131I)は、甲状腺がヨウ素を取り込んで甲状腺ホルモンを作る性質を利用する治療薬です。放射性ヨウ素が甲状腺に集まることで、甲状腺組織や甲状腺がんの病変へ放射線を届けます。日本核医学会の情報では、I-131ヨウ化ナトリウム内用療法は甲状腺機能亢進症や甲状腺がんに対する治療として扱われています。検査用のヨウ素製剤と、治療用の131Iを混同しないことが重要です。
治療用放射性医薬品には、骨転移を伴う前立腺がんなどで用いられる薬や、特定の受容体・抗原を持つ腫瘍に集まるよう設計された薬があります。これらはがん種、病期、これまでの治療、骨髄・腎機能などにより適応が厳密に決められています。放射性医薬品を「放射線治療の代わり」と一律に捉えるのではなく、標的や目的の異なる専門的な治療として理解します。
FDGなどのPET用薬は主に静脈注射で投与されます。検査前には一定時間の絶食や、血糖値の確認が必要になることがあります。ヨウ化ナトリウム(131I)はカプセルとして経口投与される製剤があります。治療では放射線管理区域を持つ医療機関で行われ、投与量や病気により外来または入院で実施されます。検査・治療の前後には、他の薬、ヨウ素を多く含む食品、造影剤の使用歴などについて確認が行われます。