

薬品情報|皮膚
湿疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎などでは、皮膚の炎症、かゆみ、乾燥、バリア機能の低下が組み合わさって起こります。皮膚のバリア機能とは、外部の刺激物や細菌、アレルゲンが皮膚内部へ入りにくくし、体内の水分が逃げるのを防ぐ働きです。治療では、炎症を抑える薬、かゆみや免疫反応に関わる薬、乾燥を防ぐ保湿剤、患部を物理的に守る保護剤を組み合わせます。
皮膚炎は見た目が似ていても、感染症、薬疹、接触アレルギー、乾癬など別の病気である場合があります。長引く発疹、急に広がる赤み、水疱、痛み、発熱がある場合には、自己流で塗り薬を重ねず、診断を受けることが大切です。
| 種類 | 主な用途 | 一般名や製品例 |
|---|---|---|
| ステロイド外用薬 | 湿疹・皮膚炎などの炎症を抑える | ベタメタゾン、モメタゾン、ヒドロコルチゾン酪酸エステルなど |
| カルシニューリン阻害外用薬 | アトピー性皮膚炎の免疫反応・炎症を抑える | タクロリムス水和物(プロトピック軟膏) |
| PDE4阻害外用薬 | アトピー性皮膚炎の炎症を抑える | ジファミラスト(モイゼルト軟膏) |
| 保湿剤 | 乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を補助する | ヘパリン類似物質、尿素、白色ワセリンなど |
| 皮膚保護薬 | 刺激・摩擦・排泄物などから皮膚を守る | 亜鉛華軟膏、白色ワセリンなど |
ステロイド外用薬は、皮膚の炎症を抑える基本的な治療薬の一つです。強さが複数の段階に分かれており、顔、首、陰部、子どもの皮膚など薄い部位では特に薬の強さや使用期間を考慮します。適切に使うことで炎症を早く鎮めることが期待されますが、漫然と強い薬を塗り続けると、皮膚が薄くなる、血管が浮く、にきび様の発疹が出るなどの局所的な副作用につながることがあります。
タクロリムス軟膏は、カルシニューリンという免疫細胞内の働きを抑え、炎症に関わる物質の産生を抑制する外用薬です。アトピー性皮膚炎に用いられます。塗り始めにほてり、ヒリヒリ感、かゆみなどが起こることがあります。感染を伴う皮膚や、びらん・潰瘍のある部位への使用などには注意が必要で、使う部位や状態は処方時の説明に従います。
ジファミラストは、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)という酵素を阻害する外用薬です。PDE4は免疫細胞の炎症反応に関係しており、阻害することで皮膚の炎症を抑えます。PMDA公開の添付文書では、モイゼルト軟膏0.3%および1%の効能・効果はアトピー性皮膚炎とされています。年齢によって使用できる濃度が異なるため、処方された製剤をそのまま使用します。
ヘパリン類似物質は、角質層の水分を保ちやすくし、乾燥した皮膚の保湿に使われます。尿素製剤は水分保持を助けるほか、角質をやわらかくする作用も持ちます。ひび割れや角質が厚い部位で使われることがありますが、傷、びらん、粘膜付近ではしみる場合があります。白色ワセリンは皮膚表面に油性の膜を作り、水分蒸発や外部刺激を抑える保護剤です。
外用薬には軟膏、クリーム、ローション、フォーム、ゲル、スプレーなどがあります。軟膏は乾燥が強い部位や刺激を避けたい場合に選ばれることがあり、クリームは伸ばしやすく、湿った病変に使いやすいことがあります。ローションやフォームは頭皮など毛の多い部位に適する場合があります。薬効成分が同じでも、剤形によって使用感や適した部位が異なります。
アトピー性皮膚炎では、保湿や外用ステロイドに加え、炎症の経路に働きかける治療薬が使われます。デルゴシチニブはJAKを阻害する外用薬で、皮膚に塗布して炎症性サイトカインのシグナル伝達を抑える薬です。デュピルマブはIL-4およびIL-13のシグナルを抑える注射薬で、外用治療などで十分な効果が得られない中等症から重症の患者で選択肢となります。ほかにも作用機序の異なる全身治療薬があります。年齢、重症度、感染症リスク、妊娠・授乳、ワクチン接種予定などを踏まえ、専門的に治療を選びます。PMDA 電子添文「デルゴシチニブ軟膏」