

薬品情報|骨・関節・筋肉
関節リウマチは、免疫が自分自身の関節を攻撃することで、関節の腫れ、痛み、こわばり、骨や軟骨の破壊を起こす病気です。自己免疫疾患には、全身性エリテマトーデス、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患などもあり、病気ごとに免疫の異常が起きる場所や治療薬の承認適応が異なります。
近年は、痛みを一時的に抑えるだけでなく、炎症を抑え、関節破壊や臓器障害の進行を抑えることを目標に治療が行われます。治療薬は、従来型抗リウマチ薬、生物学的製剤、分子標的薬であるJAK阻害薬などに分けられます。いずれも感染症などへの注意が必要で、定期的な採血や画像検査とともに専門医が管理します。
| 種類 | 主な用途 | 一般名や製品例 |
|---|---|---|
| 従来型抗リウマチ薬 | 関節リウマチの炎症と関節破壊の進行を抑える基礎治療薬 | メトトレキサート(リウマトレックスなど) |
| TNF阻害薬 | 炎症を起こすTNFという物質の働きを抑える | アダリムマブ(ヒュミラ、バイオ後続品) |
| その他の生物学的製剤 | IL-6、T細胞活性化など、特定の免疫経路を抑える | トシリズマブ、アバタセプトなど |
| JAK阻害薬 | 細胞内の炎症シグナル伝達を抑える | トファシチニブ(ゼルヤンツ) |
| 補助的治療薬 | 痛み・炎症の一時的な軽減、症状が強い時期の補助 | NSAIDs、副腎皮質ステロイドなど |
メトトレキサートは、関節リウマチ治療で中心的に用いられることが多い従来型抗リウマチ薬です。免疫細胞の働きや炎症に関わる経路を調整し、関節破壊の進行を抑えることを目指します。がん治療で使われる場合とは用法・用量が異なることがあり、関節リウマチでは決められた間隔で服用する薬です。投与間隔の取り違えは重篤な副作用につながるため、自己判断で毎日服用してはいけません。
メトトレキサートでは、骨髄抑制、肝機能障害、間質性肺炎、感染症、口内炎などに注意が必要です。妊娠中または妊娠を希望する場合には重要な確認事項があり、男女ともに治療計画について主治医に相談します。また、腎機能、肝機能、飲酒、併用薬が安全性に影響するため、定期的な検査が欠かせません。
アダリムマブは、炎症を増幅させるTNF-αというたんぱく質の働きを抑える生物学的製剤です。生物学的製剤とは、生物由来の技術を用いて作られる、特定の標的に働く薬を指します。アダリムマブには関節リウマチのほか、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎など複数の疾患で承認されている製剤がありますが、適応は製品・疾患ごとに確認が必要です。結核やB型肝炎ウイルスの再活性化などの感染症リスクを考慮し、開始前の検査が行われます。
トファシチニブはJAK阻害薬です。JAKは、サイトカインと呼ばれる免疫の情報伝達物質の信号を細胞内に伝える酵素の一群です。これを抑えることで炎症を軽減します。内服薬である一方、重い感染症、帯状疱疹、血栓塞栓症、心血管系事象、悪性腫瘍などのリスクを含め、患者の年齢、喫煙歴、心血管リスク、既往歴を踏まえた評価が必要です。生物学的製剤や他の強い免疫抑制薬との併用には制限があります。
メトトレキサートには内服剤や皮下注射製剤があります。アダリムマブは主に皮下注射製剤で、自己注射が可能なペン型・シリンジ型製剤を含みますが、導入時には使用方法の指導が必要です。トファシチニブは内服薬です。治療薬を選ぶ際は、病気の活動性、合併症、妊娠の予定、通院・自己注射の可否、既存治療への反応などを総合的に考えます。