甲状腺の薬の種類と用途

甲状腺の薬の種類と用途

甲状腺は首の前方にある小さな臓器で、全身の代謝、体温、心拍、成長・発達などに関わる甲状腺ホルモンを作ります。甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症では、だるさ、寒がり、便秘、むくみなどがみられることがあります。反対に過剰となる甲状腺機能亢進症では、動悸、発汗、体重減少、手の震えなどが現れることがあ

薬品情報|糖尿病・内分泌・代謝

甲状腺の薬

甲状腺は首の前方にある小さな臓器で、全身の代謝、体温、心拍、成長・発達などに関わる甲状腺ホルモンを作ります。甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症では、だるさ、寒がり、便秘、むくみなどがみられることがあります。反対に過剰となる甲状腺機能亢進症では、動悸、発汗、体重減少、手の震えなどが現れることがあります。
症状だけでは診断できないため、TSH、遊離T4、必要に応じて遊離T3や抗体などの血液検査、超音波検査を組み合わせて原因を確認します。甲状腺の薬は、足りないホルモンを補う薬と、過剰なホルモン産生を抑える薬が中心です。


主な種類と用途


種類 主な用途 一般名や製品例
甲状腺ホルモン補充薬 甲状腺機能低下症で不足するホルモンを補う レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)
抗甲状腺薬 バセドウ病などで甲状腺ホルモンの合成を抑える チアマゾール(メルカゾール)
抗甲状腺薬 甲状腺機能亢進症でホルモン合成を抑える プロピルチオウラシル(プロパジール、チウラジール)
症状緩和薬 動悸・手の震えなどを一時的に和らげることがある β遮断薬など。適応・選択は病状により異なる


種類ごとの作用・役割の違い

レボチロキシンナトリウムは、甲状腺から分泌されるT4に相当する甲状腺ホルモン製剤です。慢性甲状腺炎(橋本病)、甲状腺手術後、放射性ヨウ素治療後、下垂体・視床下部の病気など、原因に応じた甲状腺機能低下症で補充療法に用いられます。ホルモンを補う治療では、症状だけでなく血液検査を定期的に確認し、過不足を調整します。過量になると、動悸、手の震え、不眠、体重減少、心臓への負担など、機能亢進に似た症状が出ることがあります。
チアマゾールとプロピルチオウラシルは抗甲状腺薬です。主に甲状腺内で甲状腺ホルモンを作る過程を抑えます。厚生労働省の資料では、両薬はバセドウ病、そして一部ではプランマー病(機能性甲状腺腺腫)の治療に用いられる薬剤として示されています。既に血液中にあるホルモンを直ちに消す薬ではないため、効果の確認には経過観察と採血が重要です。
プロピルチオウラシルは、甲状腺内でのホルモン合成抑制に加え、末梢でT4からより作用の強いT3への変換を抑える作用も知られます。ただし、チアマゾールとプロピルチオウラシルは副作用の種類・頻度、妊娠中の扱い、肝機能への影響などを踏まえ、患者ごとに選択されます。どちらが常に優れているというものではありません。
β遮断薬などは、甲状腺ホルモン過剰そのものを治す薬ではありませんが、動悸、脈の速さ、手の震えといった交感神経症状を和らげる目的で併用されることがあります。喘息、心臓の病気、血圧などによって使えない場合もあるため、必ず主治医の判断で用います。


剤形と使われる場面

レボチロキシン、チアマゾール、プロピルチオウラシルは主に錠剤として使われます。飲み忘れ時の対応、食事や他の薬との間隔、検査日の扱いは薬ごと・治療計画ごとに異なるため、処方時の説明を優先します。甲状腺クリーゼのような重症の甲状腺中毒症では、入院下で抗甲状腺薬、無機ヨウ素、β遮断薬、副腎皮質ステロイドなどを組み合わせた緊急治療が行われることがありますが、これは救急・専門医療の領域です。


共通の注意点

  • 抗甲状腺薬の使用中に、発熱、のどの痛み、強いだるさが現れた場合は、無顆粒球症などの重い副作用を念頭に、直ちに医療機関へ連絡します。
  • 黄疸、濃い尿、食欲低下、強い倦怠感、右上腹部痛などは肝機能障害の可能性があるため、早めの受診が必要です。
  • 甲状腺ホルモン補充薬は、症状が改善したからといって自己判断で中止しません。原因によっては長期の補充が必要です。
  • 妊娠中・妊娠を希望する場合・授乳中は、甲状腺機能の適切な管理が特に重要です。薬を中断せず、早めに主治医へ相談します。
  • 海藻や健康食品などに含まれるヨウ素の摂取量が治療に影響する場合があります。極端な摂取や制限は自己判断で行わず、医療者の指示に従います。


参考資料・添付文書


【第3類医薬品】キューピーコーワゴールドαプレミアム 280錠