

薬品情報|皮膚
乾癬、円形脱毛症、角化異常症、難治性の皮膚潰瘍などでは、一般的な保湿剤や湿疹の外用薬だけでは十分に対応できないことがあります。乾癬は免疫の異常が関わる慢性炎症性疾患で、境界が比較的はっきりした赤い盛り上がりと銀白色の鱗屑(りんせつ:皮膚表面の細かな皮)がみられることがあります。円形脱毛症は毛包に対する自己免疫反応が関与すると考えられています。
この分類では、乾癬に用いるビタミンD3外用薬、重症円形脱毛症に用いるJAK阻害薬、発毛を促すミノキシジル、皮膚潰瘍などで肉芽形成を促す薬を取り上げます。ただし、候補薬のうちミノキシジルは、国内では一般用医薬品の外用発毛剤としての位置づけが中心であり、脱毛の原因を問わず使える薬ではありません。
| 種類 | 主な用途 | 一般名や製品例 |
|---|---|---|
| ビタミンD3外用薬 | 尋常性乾癬などの角化異常・炎症を改善する | カルシポトリオール(ドボネックス) |
| ビタミンD3・ステロイド配合外用薬 | 乾癬の炎症と角化の異常に対応する | カルシポトリオール・ベタメタゾン配合剤(ドボベットなど) |
| JAK阻害薬 | 重症の円形脱毛症で免疫シグナルを抑える | リトレシチニブトシル酸塩(リットフーロ) |
| 外用発毛剤 | 壮年性脱毛症における発毛・脱毛進行予防 | ミノキシジル外用液 |
| 皮膚潰瘍治療補助薬 | 褥瘡・皮膚潰瘍などで肉芽形成を促す | トレチノイントコフェリル(オルセノン軟膏) |
カルシポトリオールは、活性型ビタミンD3に関連する外用薬で、皮膚細胞の増殖や分化の異常を調整します。乾癬では、皮膚の細胞が通常より速く増え、炎症を伴うことで、厚い鱗屑や紅斑が生じます。カルシポトリオールはこの角化異常に働きかけます。PMDAのドボネックス軟膏の情報では、有効成分はカルシポトリオールで、尋常性乾癬の治療薬として承認されています。広範囲への使用や長期使用では、血中カルシウムの上昇に注意が必要です。
カルシポトリオールとステロイドの配合剤は、角化異常への作用と炎症を抑える作用を一つの製剤に組み合わせた薬です。乾癬の病変が厚く赤み・かゆみを伴うときに使われることがあります。配合剤にはステロイドが含まれるため、使用する部位、期間、量を自己判断で増やさず、定期的に効果と副作用を確認します。
リトレシチニブはJAK阻害薬の一つで、毛包に対する免疫反応に関係する細胞内シグナルを抑えることで、円形脱毛症の治療に用いられます。国内での承認対象は重症の円形脱毛症であり、すべての抜け毛、男性型脱毛症、加齢による薄毛を対象とする薬ではありません。免疫に関わる薬であるため、感染症、帯状疱疹、血液検査値の変化などへの注意が必要で、開始前・治療中に検査が行われます。
ミノキシジル外用薬は、毛包周辺の血流や毛包の成長期に関わると考えられている発毛剤です。国内の一般用医薬品では、壮年性脱毛症における発毛、育毛、脱毛進行の予防を目的とした外用製剤があります。円形脱毛症、薬剤性脱毛、産後脱毛、瘢痕性脱毛症などに対する標準治療として使う薬ではありません。頭皮の炎症、急な脱毛、円形の脱毛斑がある場合は、自己治療の前に皮膚科を受診します。
トレチノイントコフェリルは、皮膚潰瘍や褥瘡などで肉芽組織の形成を促す目的の外用薬です。肉芽とは、傷を修復する過程で作られる新しい血管や結合組織を含む組織です。感染を伴う創傷、血流障害の強い潰瘍、糖尿病足病変などでは、原因の治療、感染管理、圧の除去、血行評価などを並行して行う必要があります。
カルシポトリオールや配合剤には軟膏、ゲル、ローションなどがあります。頭皮の乾癬では、毛髪がある部位にも使いやすい剤形が選択されることがあります。リトレシチニブは内服カプセル剤です。ミノキシジルは頭皮に塗布する外用液で、内服薬としての自己使用は国内承認の脱毛症治療として位置づけられていません。トレチノイントコフェリルは軟膏剤として創部の状態を観察しながら用いられます。