不妊治療・妊娠分娩・男性の性機能の薬の種類と用途

不妊治療・妊娠分娩・男性の性機能の薬の種類と用途

生殖に関わる薬は、排卵を促す不妊治療薬、妊娠中や分娩時に子宮の収縮などを調整する薬、男性ホルモンを補う薬、勃起不全(ED)の治療薬などに分けられます。いずれもホルモン、血管、子宮・卵巣・精巣などに作用するため、病気の原因、妊娠の可能性、心血管疾患、肝機能、併用薬などを確認して使われます。

薬品情報|泌尿器・生殖器

不妊治療・妊娠分娩・男性の性機能の薬

生殖に関わる薬は、排卵を促す不妊治療薬、妊娠中や分娩時に子宮の収縮などを調整する薬、男性ホルモンを補う薬、勃起不全(ED)の治療薬などに分けられます。いずれもホルモン、血管、子宮・卵巣・精巣などに作用するため、病気の原因、妊娠の可能性、心血管疾患、肝機能、併用薬などを確認して使われます。
妊娠を希望する人に用いる薬は、排卵障害、卵管の状態、精液所見、子宮内膜症、年齢などを評価した上で選択されます。ED治療薬は、心理的要因だけでなく糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患、神経疾患などが背景にある場合もあり、診察と必要な検査を経た処方が基本です。


主な種類と用途


種類 主な用途 一般名や製品例
排卵誘発薬 無排卵症などで排卵を促す クロミフェンクエン酸塩(クロミッドなど)
ゴナドトロピン製剤 卵胞発育・排卵を促す、不妊治療で用いる FSH製剤、hMG製剤、hCG製剤
子宮収縮薬 分娩誘発・促進、分娩後の子宮収縮不全などへの対応 オキシトシン(アトニン-Oなど)
男性ホルモン製剤 男性性腺機能低下症などでアンドロゲンを補充する テストステロン製剤
PDE5阻害薬 勃起不全の治療 シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ、後発品)


種類ごとの作用・役割の違い

クロミフェンクエン酸塩は、抗エストロゲン作用を利用して、脳の視床下部・下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンを増やし、卵胞の発育や排卵を促す薬です。主に無排卵症や排卵障害による不妊症で用いられます。排卵がない原因には、多嚢胞性卵巣症候群、体重変化、甲状腺・下垂体の病気などが関係する場合があるため、薬だけでなく原因の評価が必要です。複数の卵胞が育つことによる多胎妊娠、卵巣過剰刺激症候群などに注意が必要です。
ゴナドトロピン製剤には、卵胞刺激ホルモンであるFSH、閉経後女性の尿などから得たhMG、排卵の最終段階を促すhCGなどがあります。体外受精・胚移植を含む生殖補助医療でも使用されます。卵巣を直接刺激する治療であり、卵巣の腫大、腹水、血栓症などを伴う卵巣過剰刺激症候群のリスクを評価しながら、超音波検査やホルモン検査で管理します。
オキシトシンは、分娩時に子宮を収縮させるホルモンに似た働きをする注射薬です。分娩誘発、微弱陣痛の改善、分娩後の子宮収縮不全など、医療機関で母体と胎児の状態を連続的に確認しながら使われます。子宮収縮が過度に強くなると、胎児の状態や母体に影響する可能性があるため、家庭で使用する薬ではありません。
テストステロンは男性ホルモンの代表です。男性性腺機能低下症など、検査でホルモン不足が確認された場合に補充療法が検討されます。加齢による疲労感だけを理由に使用するものではなく、前立腺疾患、赤血球増加、睡眠時無呼吸、心血管リスクなどを考慮します。妊よう性への影響もあるため、将来の挙児希望は重要な確認事項です。
シルデナフィルはPDE5阻害薬で、性的刺激に伴って陰茎の血管が拡張する仕組みを助け、勃起を維持しやすくします。性的刺激がなくても勃起を起こす薬ではありません。PMDA関連の添付文書情報では、勃起不全および基礎疾患を診断し、治療が必要と判断された患者に限定することが示されています。硝酸薬や一酸化窒素供与薬との併用は、急激な血圧低下を招くため禁忌です。


剤形と使われる場面

クロミフェンは内服錠、ゴナドトロピン製剤やオキシトシンは主に注射剤です。テストステロンには注射剤、外用剤などがあります。シルデナフィルは内服錠で、ED治療用製剤と、肺動脈性肺高血圧症に用いる製剤では適応や用法が異なります。薬の目的や製品を混同しないよう、処方された販売名と説明書を確認します。


共通の注意点

  • 不妊治療中に腹部膨満、急な体重増加、息苦しさ、尿量低下、強い腹痛がある場合は、卵巣過剰刺激症候群を考えて速やかに医療機関へ連絡します。
  • 妊娠中や分娩時に使う薬は、母体・胎児の状態により判断されます。市販薬・サプリメントも含め、自己判断で使用しません。
  • テストステロン補充中は、血液検査、前立腺関連の評価、症状の変化を定期的に確認します。
  • シルデナフィル使用後に、胸痛、失神、持続する勃起、急な視覚・聴覚異常がある場合は緊急に受診します。
  • 狭心症治療薬の硝酸薬、降圧薬、前立腺肥大症治療薬などを使用している人は、ED治療薬の処方前に必ず伝えます。


参考資料・添付文書


【第2類医薬品】命の母A 840錠