


「24ツムラ」は、株式会社ツムラの医療用漢方製剤であるツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)の識別番号である。一般名は加味逍遙散エキスであり、保険診療においては「ツムラ24番」「加味逍遙散」「加味逍遙散エキス顆粒」などの表現で認識されることが多い。医療従事者は、一般用医薬品にも「ツムラ漢方加味逍遙散エキス顆粒」が存在する点を踏まえ、医療用製剤と一般用製剤を混同しないよう留意する必要がある。
添付文書における効能又は効果は、「体質虚弱な婦人で肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある」患者における冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症である。したがって、単に「更年期症状がある」「月経不順がある」という病名・症状名だけで機械的に選択するのではなく、虚弱傾向、肩こり、易疲労性、精神神経症状、便通傾向を含めた患者像、すなわち漢方医学的な証を考慮する必要がある。添付文書でも、患者の証(体質・症状)を考慮し、症状・所見の改善がない場合には継続投与を避けるよう求めている。
参考)ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用) - 添付文書
構成生薬は、当帰、芍薬、白朮、茯苓、柴胡、牡丹皮、山梔子、甘草、薄荷、生姜である。処方監査では、特に甘草と山梔子の含有が安全性評価に直結する。甘草は偽アルドステロン症および低カリウム血症のリスクに、山梔子は長期投与時の腸間膜静脈硬化症の注意喚起に関わるため、投与開始時だけではなく継続中にも評価が必要となる。
PMDA:ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)医療用医薬品情報
24ツムラの通常用法・用量は、成人で1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。年齢、体重、症状により適宜増減されるが、患者が自己判断で服用回数や1回量を増減しないよう説明することが重要である。服薬忘れ時の対応、食前・食間の意味、顆粒剤の服用困難の有無、水または白湯を用いた服用可否などを、処方意図と患者背景に応じて具体的に確認する。
服用タイミングにおける「食間」は、一般には食後およそ2時間を目安とする。食直後に服用しても重大な問題が直ちに生じるとは限らないものの、処方された用法との乖離が続くと、服薬アドヒアランスの評価や効果判定が難しくなる。食前・食間の服用で悪心や胃部不快感が強い患者では、症状を放置せず、服用継続の可否を処方医と共有する。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 販売名 | ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用) | 「24ツムラ」「ツムラ24番」と呼ばれることがある |
| 一般名 | 加味逍遙散エキス | 生薬及び漢方処方に基づく医薬品 |
| 主な効能又は効果 | 冷え症、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症など | 虚弱傾向、肩こり、易疲労性、精神不安等を伴う患者像を確認する |
| 通常用法・用量 | 成人1日7.5gを2~3回に分割 | 食前又は食間に経口投与し、症状等により適宜増減する |
| 処方継続の評価 | 症状・所見の変化を定期的に確認 | 改善が乏しい場合には漫然投与を避ける |
処方時または薬局での初回面談では、症状の主訴だけでなく、月経歴、更年期症状の内容、精神的な不調の程度、睡眠、便通、食欲、胃腸症状、妊娠可能性、服用中の処方薬・市販薬・健康食品を確認する。特に婦人科疾患、甲状腺疾患、うつ病・不安症、貧血、悪性腫瘍など、類似症状の背景に別の疾患が隠れている可能性にも注意が必要である。
ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)添付文書情報
24ツムラには甘草が含まれており、重要な副作用として偽アルドステロン症、低カリウム血症、および低カリウム血症を背景とするミオパチーに注意する。偽アルドステロン症では、血圧上昇、ナトリウム・体液貯留、浮腫、体重増加などがみられ得る。血清カリウム値の低下が進行すると、脱力感、筋肉痛、四肢けいれん、四肢麻痺などのミオパチー症状が現れることがあるため、患者の自覚症状を具体的に聴取する必要がある。
リスクは24ツムラ単独の投与量だけで決まらない。複数の漢方製剤、グリチルリチン酸またはその塩類を含む製剤、一般用医薬品、健康食品等を併用している場合、甘草由来成分の実質的な曝露が増える可能性がある。処方薬の薬剤情報だけを確認するのでは不十分であり、「市販の漢方薬、風邪薬、胃腸薬、むくみ対策薬、肝臓の薬などを飲んでいないか」と、患者が回答しやすい言葉に置き換えて聞き取ることが望ましい。
重大な副作用には、肝機能障害および黄疸も含まれる。倦怠感の増悪、食欲不振、悪心、黄疸、褐色尿などがあれば、漢方薬であることを理由に様子を見るのではなく、服薬状況を確認し、肝胆道系障害を含めた評価につなげる。患者には「天然由来」「漢方薬」という表現が安全性を保証するものではないことを、過度に不安をあおらず説明する姿勢が必要である。
24ツムラには山梔子が含まれる。山梔子含有製剤の長期投与では、腸間膜静脈硬化症が生じるおそれがあり、添付文書では長期投与時に定期的なCTまたは大腸内視鏡等の検査を行うことが望ましいとされている。長期投与は多くの場合5年以上とされるが、年数だけを安全・危険の境界として扱うのではなく、累積投与、患者の消化器症状、検査歴、他の山梔子含有製剤の併用歴を総合して評価する。
警戒すべき所見は、反復する腹痛、反復する下痢、反復する便秘、反復する腹部膨満、便潜血陽性である。これらが認められた場合、単純に「便秘体質」「過敏性腸症候群」「年齢による胃腸不調」と決めつけず、24ツムラを含む山梔子含有漢方薬の服用歴を再確認する。添付文書では、疑われる場合に投与を中止し、CTや大腸内視鏡等の検査を実施して適切に対応することが示されている。腸管切除術に至った症例も報告されているため、漫然投与の防止と症状の早期把握が重要である。
薬局・外来での継続確認では、「お腹の調子はいかがですか」という漠然とした質問だけで終えず、「繰り返す腹痛はないか」「下痢と便秘を繰り返していないか」「お腹の張りが続かないか」「便潜血検査で指摘を受けていないか」と具体化すると、見逃しを減らしやすい。処方医、薬剤師、看護師が同様の観点を共有し、長期投与患者を把握できる運用を整えることが望ましい。
24ツムラは月経不順や更年期障害など、妊娠可能年齢の女性に処方され得る適応を持つ。そのため、妊娠の可能性を確認することは形式的なチェックではなく、安全使用の重要な要素である。添付文書では、妊婦または妊娠している可能性のある女性には、牡丹皮により流早産の危険性があるため、投与しないことが望ましいとされる。月経遅延がある患者、不妊治療中の患者、妊娠を希望している患者では、処方開始時だけでなく継続処方時にも状況を確認する。
また、著しく胃腸が虚弱な患者では、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などが現れることがある。すでに食欲不振、悪心、嘔吐がある患者では、これらの症状が悪化するおそれがあるため、開始後の消化器症状を丁寧に追う必要がある。高齢者では一般に生理機能が低下していることから、減量を含めて慎重な投与が必要とされる。小児等を対象とした臨床試験は実施されていないため、小児への使用では経験則のみで判断せず、処方根拠と安全性をより慎重に検討する。
服薬指導では、「症状が軽くなったか」「新しい症状はないか」「他院やドラッグストアで新たに薬を購入していないか」を定期的に確認する。24ツムラは、患者の体質・症状に応じた処方選択と、継続中の副作用モニタリングを両立して初めて適正使用につながる漢方製剤である。効果が不十分な場合には、増量や長期継続を自己目的化せず、証の再評価、鑑別診断、他治療への切替えを含めて処方意図を見直すことが、医療安全と治療の質の両面で重要となる。