

セキサミンAZトローチは、日新薬品工業が販売する第3類医薬品のトローチ剤である。主として、のどの炎症による声がれ、のどのあれ、不快感、痛み、はれに対して使用される。また、口腔内の殺菌・消毒および口臭の除去も効能・効果として掲げられている。
本剤は、発熱や強い嚥下痛、呼吸困難、膿性痰、著明な全身倦怠感などを伴う急性上気道症状に対して、疾患そのものを診断・治療する薬剤ではない。局所症状の緩和と口腔・咽頭領域の衛生管理を目的とするOTC医薬品として位置付け、症候の重症度や経過を踏まえて適切にトリアージすることが重要である。特に、細菌性扁桃炎、急性喉頭蓋炎、深頸部感染症、COVID-19、インフルエンザ、口腔カンジダ症などが疑われる状況では、本剤のみでの対応を継続させない。
医療従事者が情報提供する際は、「のどの違和感があるから直ちに抗菌薬が必要」という誤解を避ける必要がある。セキサミンAZトローチに含まれる殺菌成分は局所での口腔内殺菌・消毒を目的としたものであり、全身感染症に対する抗菌薬治療の代替ではない。症状の軽減目的と、受診判断を遅らせないことをセットで説明することが安全使用につながる。
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セキサミンAZトローチは、1錠1.2g中にアズレンスルホン酸ナトリウム0.8mg、グリチルリチン酸二カリウム2.5mg、セチルピリジニウム塩化物水和物1mgを含有する。アズレンスルホン酸ナトリウムは、カミツレ由来成分に関連するアズレン系化合物であり、口腔・咽頭粘膜における炎症症状の緩和を目的として配合される。グリチルリチン酸二カリウムも、粘膜の炎症に伴う不快感や刺激感を和らげる目的で用いられる成分である。
セチルピリジニウム塩化物水和物は、CPCとも呼ばれるカチオン性の殺菌成分である。口腔内の細菌に対する殺菌・消毒を目的として配合され、口臭除去の効能にも関係する。ただし、口臭には歯周病、舌苔、う蝕、唾液分泌低下、義歯不適合、鼻副鼻腔疾患、消化器疾患など多様な要因が関与し得る。CPC配合トローチの使用だけで持続する口臭の原因を解決できるとは限らないため、症状の持続例では歯科または医科での評価を考慮する。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| アズレンスルホン酸ナトリウム | 1錠中0.8mg | のどの炎症に伴う症状の緩和を目的とする成分 |
| グリチルリチン酸二カリウム | 1錠中2.5mg | 粘膜の炎症に伴う不快感への配慮として配合 |
| セチルピリジニウム塩化物水和物 | 1錠中1mg | 口腔内の殺菌・消毒、口臭除去を目的とするCPC成分 |
| 剤形 | トローチ剤 | 口中で溶かして使用し、かみ砕き・嚥下は避ける |
| 医薬品区分 | 第3類医薬品 | 購入時・使用時には添付文書の確認が必要 |
添加物として、精製白糖、粉末還元麦芽糖水アメ、ポビドン、マクロゴール6000、炭酸水素ナトリウム、l-メントール、ステアリン酸カルシウム、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、香料などが含まれる。成分アレルギーの既往がある患者、添加物を含む製剤への反応歴が疑われる患者では、使用前に薬剤師または医師へ確認する。
用法・用量は年齢により異なる。15歳以上は1回1錠を1日4~6回、5歳以上15歳未満は1回1錠を1日2~3回使用する。5歳未満は使用しない。いずれも、口中に含み、かまずにゆっくり溶かして使用することが基本である。服用時に水で飲み込む内服薬とは異なる剤形であることを、患者や保護者に明確に伝える必要がある。
トローチをかみ砕いた場合には、設計された口腔・咽頭での滞留時間が短くなり、局所への接触が不十分になる可能性がある。また、丸ごと飲み込むと意図した使用方法から外れるだけでなく、特に小児、高齢者、嚥下機能が低下している人では誤嚥や咽頭への停留のリスクにも注意が必要である。トローチ剤は、無理なく口中で溶かせることを前提に使用の可否を判断する。
PTPシートの誤飲は、食道粘膜損傷や穿孔などの重大な事故につながるおそれがある。使用者が高齢者、認知機能低下者、小児の場合は、シートの凸部を押してアルミ箔を破り、必ず錠剤だけを取り出すという基本動作を確認する。服薬支援者がいる場合は、投与時の見守りや、必要数のみを取り出す運用も検討したい。
使用前に相談が必要な対象として、医師または歯科医師の治療を受けている人、薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人が挙げられる。治療中の疾患や併用薬がある場合、のどの症状が原疾患、治療の副作用、吸入薬による局所刺激、口腔乾燥、逆流症状、放射線治療後の粘膜障害などと関連している可能性もある。単に市販薬を追加するのではなく、背景要因を確認する姿勢が必要である。
使用後に皮膚の発疹・発赤、かゆみが現れた場合は、副作用の可能性を考え、直ちに使用を中止する。そのうえで製品の外箱または添付文書を持参し、医師、薬剤師または登録販売者へ相談するよう案内する。局所製剤であっても、薬剤成分または添加物による過敏反応を否定せず、再使用を自己判断で行わせないことが重要である。
また、5~6日間使用しても症状が改善しない場合は、使用を中止して相談することとされている。のどの痛みや声がれが遷延する場合、感染症だけではなく、声帯炎、声帯結節、逆流性食道炎・咽喉頭逆流症、アレルギー性疾患、口腔・咽頭の悪性疾患なども鑑別に含まれる。とくに喫煙歴がある人、飲酒量が多い人、嗄声が長引く人、嚥下障害や体重減少を伴う人では、耳鼻咽喉科受診を含めた評価が必要となる。
セキサミンAZトローチの基本情報・添付文書情報
セキサミンAZトローチは、軽度なのどの炎症に伴う局所症状に対するセルフケアの選択肢となる一方、受診遅れを防ぐための情報提供が重要である。高熱が続く、息苦しさがある、唾液も飲み込みにくい、片側だけの強い咽頭痛がある、頸部の強い腫れ、血痰、強い倦怠感、意識状態の変化などがみられる場合は、OTC医薬品で経過を見る対象とは考えにくい。症状の緊急性に応じ、速やかな医療機関受診を促す。
保管は、直射日光を避け、湿気の少ない涼しい場所で行う。小児の手の届かない場所に置き、他の容器へ入れ替えないことも重要である。別容器への移し替えは誤用や品質変化の原因となり、トローチであることが分からなくなれば、通常の錠剤として誤って飲み込む危険も高まる。
アルミ袋の開封後に日数が経過すると、光、熱、湿気の影響で変色する場合があるため、変色した製品は使用しない。使用期限を過ぎた製品も使用しないよう指導する。なお、配合されているl-メントールは温度変化などにより綿状または繊維状に析出することがあるが、添付文書の情報では品質に問題はないとされている。外観の変化を一律に異常と断定するのではなく、変色、破損、期限切れ、保管状況を総合的に確認することが望ましい。
医療従事者は、患者が「のどの痛み」に対して何を求めているのかを確認し、疼痛の程度、発熱の有無、症状の持続期間、嚥下状況、咳・鼻症状、既往歴、服薬歴を簡潔に聴取することが有用である。そのうえで、セキサミンAZトローチの適応範囲、正しい使用法、副作用時の中止、5~6日間で改善しない場合の相談という4点を具体的に伝えることで、OTC医薬品の適正使用を支援できる。