結核・抗酸菌症の薬の種類と用途

結核・抗酸菌症の薬の種類と用途

結核は、結核菌によって起こる感染症です。主に肺に病変を作りますが、リンパ節、骨、腎臓、脳など全身の臓器に起こることがあります。抗酸菌は、特殊な染色で確認される細菌群で、結核菌のほか、マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)などの非結核性抗酸菌も含まれます。

薬品情報|感染症・予防

結核・抗酸菌症の薬

結核は、結核菌によって起こる感染症です。主に肺に病変を作りますが、リンパ節、骨、腎臓、脳など全身の臓器に起こることがあります。抗酸菌は、特殊な染色で確認される細菌群で、結核菌のほか、マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)などの非結核性抗酸菌も含まれます。
結核菌や非結核性抗酸菌は、治療期間が長く、薬剤耐性を防ぐために複数の薬を組み合わせることが基本です。咳が続く、血痰、発熱、寝汗、体重減少などがある場合でも、症状だけでは結核と診断できません。胸部画像、喀痰検査、培養、遺伝子検査などで診断し、感染症・呼吸器の専門医が治療計画を立てます。


主な種類と用途

種類 主な用途 一般名や製品例
抗結核薬 結核の標準治療を構成する主要薬 イソニアジド(イスコチン)
リファマイシン系薬 結核治療の中心薬。多くの薬と相互作用する リファンピシン(リファジンなど)、リファブチン
抗結核・抗酸菌薬 結核、MAC症を含む非結核性抗酸菌症などで併用される エタンブトール塩酸塩(エブトールなど)
ピラジナミド 結核治療の初期段階で併用されることがある ピラジナミド
マクロライド系薬 MAC症など非結核性抗酸菌症で中心となる薬の一つ クラリスロマイシン、アジスロマイシン
注射用抗酸菌薬など 薬剤耐性結核や重症抗酸菌症などで専門的に使用 ストレプトマイシン、アミカシンなど


種類ごとの作用・役割の違い

イソニアジドは、結核菌の細胞壁に含まれるミコール酸の合成を阻害する薬です。結核治療の重要な構成薬であり、通常は単剤ではなく複数の抗結核薬と組み合わせます。肝機能障害、末梢神経障害、発疹などに注意が必要です。栄養状態や飲酒習慣、肝疾患、他の肝臓に影響する薬の使用状況によって、リスク評価が行われます。
リファンピシンは、細菌がRNAを作る働きを阻害する薬です。結核菌に対して強い効果を示す一方、肝臓の薬物代謝酵素を誘導するため、多数の薬の効き方に影響します。経口避妊薬、抗凝固薬、抗HIV薬、免疫抑制薬、抗てんかん薬などでは特に重要な相互作用があります。涙、汗、尿などが赤橙色になることがありますが、薬の性質によるものです。ただし、黄疸や強い倦怠感などがあれば肝障害を考えて相談が必要です。
エタンブトールは、結核菌やMACなどに使われる抗酸菌薬です。PMDAの安全性資料では、肺結核およびその他の結核症、MAC症を含む非結核性抗酸菌症が適応として示されています。代表的な注意点は視力障害です。視力低下、色の見え方の変化、視野の異常などが起こる場合があり、早期発見と対応のため、治療中は視力検査などが行われます。
ピラジナミドは、結核治療の初期段階で組み合わせる薬の一つです。肝機能障害や尿酸値上昇、関節痛などに注意します。MAC症など非結核性抗酸菌症では、結核と同じ薬をそのまま使うのではなく、菌種、病変、薬剤感受性、患者の体力などに合わせた複数薬剤の治療が計画されます。クラリスロマイシンやアジスロマイシンはMAC症の治療で重要な薬ですが、単独使用は耐性化につながるため、専門医の計画に従います。


剤形と使われる場面

イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、ピラジナミドは主に内服薬です。イソニアジドには注射剤もあります。治療開始時には複数剤を服用するため、飲み忘れや重複を防ぐ支援が行われます。結核ではDOTS(直接服薬確認療法)など、服薬を支える仕組みが利用されることがあります。薬剤耐性結核、重症例、内服できない場合などでは、注射薬や新しい作用機序を持つ薬を含む専門的治療が必要となります。


共通の注意点

  • 抗結核薬・抗酸菌薬は、自己判断で中断したり一部だけを飲んだりすると、治療失敗や薬剤耐性につながるおそれがあります。
  • 食欲低下、吐き気、黄疸、濃い尿、強いだるさは肝機能障害の可能性があるため、早めに連絡します。
  • エタンブトール使用中に、視力低下、色覚異常、視野の変化がある場合は、速やかに医療機関へ連絡します。
  • リファンピシンは非常に多くの薬と相互作用します。他院の処方薬、市販薬、サプリメント、ホルモン製剤を必ず申告します。
  • 結核では感染対策や接触者健診が必要になる場合があります。保健所・医療機関からの説明に従います。


参考資料・添付文書