


ハヤナ顆粒は、東和製薬株式会社が製造販売する内服用の総合感冒薬です。医療用医薬品ではなく、薬局・薬店等で購入して使用する一般用医薬品に分類され、リスク区分は指定第二類医薬品です。指定第二類医薬品は、一般用医薬品のうち、特に注意を要する成分を含むため、購入時および使用時に薬剤師または登録販売者による情報提供・確認が重要となる製品群です。ハヤナ顆粒についても、単に「かぜ薬」として扱うのではなく、配合成分の作用重複、基礎疾患、併用薬、年齢、症状経過を確認したうえで適正使用を支援する姿勢が求められます。
参考)一般用医薬品 : ハヤナ顆粒
効能・効果は、かぜに伴う鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛みの緩和です。したがって、本剤は原因疾患そのものを治療する抗ウイルス薬や抗菌薬ではなく、感冒に伴って現れる複数の不快症状を一時的に軽減する対症療法薬として位置付けられます。症状の訴えが感冒の範囲を超える場合、たとえば高熱の持続、呼吸困難、強い喘鳴、胸痛、意識状態の変化、著明な脱水、激しい頭痛、強い咽頭痛や嚥下困難などがある場合には、OTC薬で経過を見る対象かを改めて判断し、早期の医療機関受診を案内する必要があります。
参考)ハヤナ顆粒の基本情報・添付文書情報 - データインデックス
なお、「ハヤナ顆粒」と「ハヤナ顆粒A」は名称が類似していますが、成分構成、対象年齢、用法・用量および注意事項が同一であるとは限りません。相談対応や在庫確認、記録作成、服薬説明では、販売名の末尾まで確認し、使用者が手元に持つ現物の外箱・添付文書を基準に情報を照合することが重要です。
PMDA 一般用医薬品・要指導医薬品 添付文書等情報検索
ハヤナ顆粒は、1日量である3包(3g)中に、アセトアミノフェン、クエン酸チペピジン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、グアヤコールスルホン酸カリウム、リボフラビン、無水カフェイン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩の7成分を配合する総合感冒薬です。複数症状に対応できる反面、他の総合感冒薬、鎮痛解熱薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬、睡眠改善薬等との成分重複を起こしやすいため、販売時・相談時には「現在飲んでいる市販薬」「処方薬」「頓用薬」「サプリメントやエナジー飲料を含むカフェイン摂取」の確認を行います。
アセトアミノフェンは、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、のどの痛みなどの軽減を目的とする解熱鎮痛成分です。他のアセトアミノフェン含有製剤との併用は、意図せず総摂取量を増加させる原因になります。患者・購入者が「いつもの頭痛薬」「熱さまし」「子どもの解熱薬」を使っている場合は、製品名ではなく有効成分まで照合する必要があります。
クエン酸チペピジンは咳を抑える鎮咳成分、グアヤコールスルホン酸カリウムは気道分泌を促し、たんを出しやすくする去痰成分です。咳の性状、たんの量・色、呼吸苦、喘鳴、血痰の有無を確認し、肺炎、気管支喘息増悪、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などが疑われる症例を、単なる感冒症状として扱わないことが大切です。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン | 発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、のどの痛みなどの軽減を目的とする解熱鎮痛成分 | 他の解熱鎮痛薬・総合感冒薬との重複確認が重要 |
| クエン酸チペピジン | 咳を鎮めることを目的とする鎮咳成分 | 持続する咳、呼吸苦、血痰では受診判断を優先 |
| グアヤコールスルホン酸カリウム | たんを出しやすくすることを目的とする去痰成分 | 水分摂取の可否や呼吸器症状の経過も確認する |
| クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 鼻水、くしゃみなどを和らげる抗ヒスタミン成分 | 眠気、口渇、排尿困難などに留意する |
| dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 気管支を広げ、咳を軽減することを目的とする成分 | 心悸亢進、不眠、振戦などの訴えを確認する |
| 無水カフェイン | 鎮痛作用の補助等を目的とする成分 | カフェイン含有飲料・製品の過量摂取に注意する |
| リボフラビン | ビタミンB2として配合される成分 | 尿が黄色くなることがあるが、成分由来の場合がある |
クロルフェニラミンマレイン酸塩は、鼻水やくしゃみの緩和を目的とする抗ヒスタミン成分です。眠気、注意力低下、口渇、便秘、排尿しにくさなどが問題となることがあります。自動車運転、危険を伴う機械操作、高所作業、夜勤などを行う人では、服用後の影響を具体的に説明し、業務・生活への影響を確認することが必要です。特に高齢者、前立腺肥大等により排尿症状がある人、緑内障のある人では、自己判断での使用を避け、医師・薬剤師等への相談を促します。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩は、咳を和らげる目的で配合される気管支拡張成分です。一方で、動悸、頻脈、不眠、手指の震え、血圧への影響などに注意が必要となる場合があります。心疾患、高血圧、甲状腺機能障害、糖尿病などの既往がある人や、交感神経刺激作用を有する薬剤を使用している人では、購入前に医療者へ相談するよう案内します。また、競技者では、メチルエフェドリンに関して競技会時のアンチ・ドーピング規則上の閾値が問題となり得るため、使用前に所属競技団体、スポーツファーマシスト、主治医等へ確認することが重要です。
ハヤナ顆粒は、1日3回、食後なるべく30分以内に、水またはぬるま湯で服用します。15歳以上は1回1包、11歳以上15歳未満は1回2/3包、7歳以上11歳未満は1回1/2包、3歳以上7歳未満は1回1/3包、1歳以上3歳未満は1回1/4包です。1歳未満は服用しません。小児に使用する場合は保護者の指導監督下で服用させること、2歳未満では医師の診療を優先し、やむを得ない場合にのみ服用させることが明記されています。
小児の分包対応では、残薬管理が重要です。1包を分割して服用する際は、残りの顆粒を別容器へ移し替えると、製品の取り違え、服用量の誤り、吸湿による品質変化につながるおそれがあります。添付文書に沿って元の袋を折り返して保管し、2日以内に使用するよう説明します。保護者には、年齢だけでなく、体格、全身状態、水分摂取の可否、服薬歴、アレルギー歴を確認したうえで、医療機関受診を優先すべき状況を伝えます。
発熱している乳幼児や小児では、活気低下、哺乳・食事摂取不良、尿量減少、呼吸状態悪化、けいれん、繰り返す嘔吐、意識がはっきりしないなどの所見があれば、市販薬で様子を見ることを優先しません。とりわけ2歳未満は、症状の評価が難しく重症化の兆候を見逃しやすいため、「かぜ薬を購入する相談」から「早期受診の相談」へ切り替える判断が不可欠です。
ハヤナ顆粒の服薬指導では、成分重複の回避が最も重要な実務ポイントの一つです。総合感冒薬は、解熱鎮痛、抗ヒスタミン、鎮咳、去痰、気管支拡張など、複数の作用を1製剤でカバーします。そのため、鼻炎薬、咳止め、頭痛薬、発熱時の解熱薬、睡眠改善薬などを追加すると、同一成分または同系統成分が重なる可能性があります。本人が「別の薬」と認識していても、実際には同じ目的の成分を重ねている事例は少なくありません。
確認時には、「他にかぜ薬を飲んでいますか」という質問だけで終わらせず、「頭痛薬・熱さまし」「鼻炎の内服薬」「咳止め」「眠れるようにする市販薬」「アレルギー薬」「処方された薬」「家族からもらった薬」のように具体的に聞き取ることが有用です。可能であれば、現物、薬袋、スマートフォンで撮影したパッケージを確認します。アセトアミノフェンの重複、抗ヒスタミン成分による眠気・抗コリン作用の増強、鎮咳成分の重複、dl-メチルエフェドリン塩酸塩と他の交感神経刺激成分の併用などを想定し、必要時には服用を見合わせて薬剤師または処方医へ確認します。
飲酒習慣についても確認が必要です。かぜ薬は症状を緩和する目的であっても、服用中の飲酒は眠気、ふらつき、判断力低下などを助長するおそれがあります。特にクロルフェニラミンマレイン酸塩を含む製剤では、服用後の運転、機械操作、危険作業を避ける必要性を具体的に伝えます。患者・購入者が「少量なら問題ない」と自己判断しないよう、作業予定や飲酒予定の聴取を通じて、使用タイミングを含めた指導を行います。
妊婦、妊娠している可能性がある人、授乳中の人、高齢者、持病のある人、薬物アレルギー歴がある人では、一般用医薬品であっても一律に使用可と判断しません。安全性評価は、妊娠週数、授乳状況、疾患の重症度、治療内容、症状の緊急性によって異なります。医療従事者が一般情報を提示する場合も、最終的には添付文書の最新記載、薬剤師による対面確認、主治医への照会を組み合わせて個別判断を行うことが重要です。
ハヤナ顆粒を含む総合感冒薬では、発疹・発赤、かゆみ、吐き気、嘔吐、食欲不振、めまい、動悸、息苦しさ、強い眠気、排尿困難など、使用中に注意を要する症状が起こり得ます。皮膚・粘膜症状、呼吸器症状、意識状態の変化など、重篤な副作用が疑われる兆候が認められた場合には、服用を中止し、速やかに医療機関を受診するよう案内します。購入者・患者が「かぜが悪化しただけ」と解釈して服用を継続しないよう、具体的な中止・受診のサインをあらかじめ説明しておくことが大切です。
また、総合感冒薬の連用は、症状の背景にある疾患を見えにくくする可能性があります。発熱、咳、のどの痛み、鼻症状は、通常の感冒だけでなく、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、肺炎、溶連菌感染症、急性副鼻腔炎、喘息、アレルギー疾患などでも起こり得ます。症状が改善しない、いったん軽快した後に悪化する、日常生活が保てないほどの症状がある、基礎疾患のある患者で症状変化がみられる場合には、漫然と市販薬を追加・継続せず、受診へ切り替えます。
医療従事者向けの記事としては、ハヤナ顆粒を「多症状に対応できる便利な顆粒剤」とだけ表現するのでは不十分です。指定第二類医薬品であること、7つの有効成分を含むこと、年齢別用量が細かく設定されていること、2歳未満では受診を優先すること、他の感冒薬・鎮痛薬・鼻炎薬等との重複確認が必要であることを、購入者や患者が実行できる言葉で伝える必要があります。特に、症状の緩和と原因疾患の診断は別である点を明確にし、適正なセルフメディケーション支援と受診勧奨を両立させることが、服薬指導の核心となるでしょう。