

意識がない、呼びかけても十分に反応しない、呼吸が苦しい、けいれんしているといった状態では、相談先を探すより先に119番へ連絡してください。日本中毒情報センターも、意識がない、けいれんを起こしているなどの重篤な症状がある場合は、直ちに救急車を呼ぶよう案内しています。薬の情報を集めることは大切ですが、救急要請を遅らせてまで薬袋や処方内容を探すべきではありません。
参考)中毒事故が起こったら(家庭でできること、やってはいけないこと…
患者が会話でき、呼吸にも明らかな異常がない場合は、薬の現物、包装、薬袋、お薬手帳を手元に用意します。処方元の医療機関や調剤した薬局へ連絡し、服用間違いが起きたことを伝えてください。受診の必要性や応急処置に迷う場合には、中毒110番も相談先となります。中毒110番は、医薬品を含む化学物質などによる急性中毒について、実際に事故が発生した場合に情報を提供する窓口です。
参考)中毒110番・電話サ−ビス
日本中毒情報センター:家庭でできること・やってはいけないこと
「朝の薬を2回飲んだ」という訴えを受けたら、どの薬を、何錠、何時に飲んだのかを具体化します。複数の薬が一包化されている場合は、袋の数だけでなく、袋に含まれる各薬剤を確認する必要があります。日本中毒情報センターは、正確な商品名、摂取量、発生時刻、患者の年齢・体重・状態などを問い合わせ時の確認項目として挙げています。情報がそろわない場合でも、重篤な症状への対応を遅らせず、不明点を不明なまま相談先へ伝えてください。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 患者情報 | 年齢、体重、性別、現在の状態を確認する。 | 小児では体重の情報も重要。分からない場合はその旨を伝える。 |
| 薬剤の特定 | 正確な商品名、製造販売会社、規格、剤形を確認する。 | 薬の色や形だけで決めつけず、包装や薬袋を照合する。 |
| 実際の服用量 | 錠数、包数、液量と、分かる範囲の成分量を整理する。 | 通常の1回量と、今回飲んだ総量を分けて伝える。 |
| 服用時刻 | 最初の服用と追加の服用、それぞれの時刻を確認する。 | 同時に2回分飲んだ場合と、時間を空けて重ねた場合を区別する。 |
| 現在の症状 | 意識、呼吸、けいれん、嘔吐など、普段との違いを確認する。 | 症状が変化した時刻も記録する。 |
| 実施済みの対応 | 飲食、嘔吐、受診、その他の処置の有無を伝える。 | 何をしたか、何時に行ったかを整理する。 |
| 相談者の連絡先 | 氏名、患者との関係、折り返し可能な電話番号を確認する。 | 医療機関からの相談では施設名、所属、職種も伝える。 |
上表は、中毒110番が公表している問い合わせ項目を基に、二重服用の聞き取りに使いやすい形で整理したものです。医療機関から相談する場合は、受診時刻、来院時と現在の症状、問い合わせまでに行った処置、特に確認したい事項も伝えます。「中毒になりそうか」という漠然とした質問よりも、受診の必要性、必要な観察、今後の対応など、判断に必要な事項を明確にすることが有用です。
例えば、通常は1回1錠の薬を朝に1錠飲み、その後、飲み忘れたと思ってもう1錠飲んだ場合は、「朝の薬を2回分」ではなく、薬剤名と規格、最初と追加の服用時刻、合計2錠であることを伝えます。一包化された薬を2袋飲んだ場合には、それぞれの薬剤が何錠含まれていたかも確認します。このように具体的な情報へ置き換えることで、相談先が実際の摂取状況を把握しやすくなります。
参考)中毒110番・電話サ−ビス (医療機関専用)
日本中毒情報センター:一般専用電話の利用方法
薬を多く飲んだときに、家庭で無理に吐かせる対応は勧められていません。指を喉に入れるなどして嘔吐を誘発すると、吐いたものが気管に入り、危険な状態になる可能性があります。日本中毒情報センターは、家庭で吐かせることを勧めないと明示しています。「飲んだ直後なら吐けばよい」という説明はせず、薬剤と服用量を確認して専門家の指示を受けるよう案内します。
水や牛乳を大量に飲ませることも、薬の過量服用に共通する対処法ではありません。日本中毒情報センターの応急手当では、飲んだ物によって対応が異なり、水や牛乳が適する場合がある一方、飲ませることで症状を悪化させるおそれがある物も示されています。このため、別の製品や別の薬についての情報を、そのまま今回の二重服用へ当てはめないことが大切です。飲食の可否を含め、相談先の個別指示を確認してください。
これらの対応は、家庭で行う応急手当と専門家への情報提供を区別するためのものです。口をすすぐなどの対応も、意識があり、呼吸や脈拍に異常がない場合に行うことが前提です。反応が鈍い患者に、普段どおり飲食させるような指示を出さないでください。重篤な症状がある場合には救急要請を行い、通信指令員などの指示に従う対応を優先します。
薬を2回分飲んでしまい、受診の必要性や応急処置が分からない場合は、日本中毒情報センターの中毒110番に相談できます。一般専用電話は、大阪中毒110番が072-727-2499、つくば中毒110番が029-852-9999です。公式案内では、どちらも365日24時間対応で、情報提供料は無料とされています。急性中毒の実際の事故を対象とするため、今回起きた服用間違いの状況を具体的に伝えてください。
医療機関専用電話は、大阪が072-726-9923、つくばが029-851-9999で、いずれも365日24時間対応です。情報提供料は1件につき2,000円です。また、医師や医療機関から一般専用電話へ問い合わせた場合も有料になると案内されています。一般患者向けと医療機関向けでは番号が異なるため、院内の連絡先一覧に登録する際は、用途と料金を明記して取り違えを防ぎます。
なお、古い自治体案内などには、つくばの一般専用電話を「9時から21時」とする情報が残っています。現在の日本中毒情報センターの公式案内では、大阪・つくばとも一般専用電話は365日24時間対応です。ブログ記事、患者向け配布物、院内マニュアルを更新する際は、二次情報だけでなく、公式ページの案内を確認することが大切です。
相談電話は救急要請の代わりではありません。意識がない、起こしても反応が乏しい、呼吸に問題がある、けいれんしている場合には、119番への連絡を優先します。症状が軽い場合や無症状の場合でも、薬剤名と摂取量を基に専門家へ確認してください。医療従事者が間に入る場合は、相談結果を「様子を見る」だけで終わらせず、受診の要否、観察する症状、再連絡が必要な変化を患者や家族へ具体的に伝える形に整理します。
中毒110番の対象にも注意が必要です。医薬品の過量服用による急性中毒は相談対象に含まれますが、通常量での副作用・ショック、慢性中毒、胎児への影響などは対象外として案内されています。また、薬ではなくPTP包装そのものを飲み込んだ場合は、物理的な障害が問題となる異物の誤飲です。「薬を飲み間違えた」という表現だけで一括せず、実際に何を飲み込んだのかを確認して医療機関へつなげる必要があります。
日本中毒情報センター:中毒110番の電話番号と対応時間
日本中毒情報センター:医療機関専用電話の利用方法
医療従事者は、患者から「夕方の薬はやめておきます」と言われた場合も、その自己判断をそのまま承認しないことが重要です。二重服用した薬の名前、通常の服用予定、今回の追加量を整理し、次回服用についての判断を処方医などへ確認する流れにします。患者が複数の薬を服用しているときは、「薬を全部止める」といった曖昧な指示ではなく、対象となる薬を特定して説明する必要があります。
患者への説明例としては、「今回飲んだ薬の名前と量を確認して、次の服用について医師や薬剤師に確認しましょう。自己判断で追加したり、今後の薬を一律に中止したりせず、確認した指示に従ってください」という伝え方が考えられます。これは特定の薬の服用指示ではなく、個別判断につなげるための説明例です。確認後は、薬剤名、次に飲む日時、服用量を具体的に記録し、患者自身の言葉で理解を確認すると、曖昧な指示を残しにくくなります。
例えば、服用した直後に記録する、家族が薬を渡す担当を決める、薬を確認する場所を統一するなど、患者の生活に合った管理方法を検討します。また、複数の医療機関で処方を受けている場合は、お薬手帳を1冊にまとめ、受診時や調剤時に医師・薬剤師へ提示することが、薬の重複や飲み合わせの確認に役立ちます。ただし、複数施設での重複処方と、同じ薬を短時間に2回飲む二重服用は別の問題であり、両方を分けて確認してください。
参考)【国保】重複服薬に注意しましょう
長岡京市:重複服薬とお薬手帳の活用