

ヨクイニンエキス錠「コタロー」は、小太郎漢方製薬株式会社が製造販売する医療用漢方製剤(生薬製剤)です。日本標準商品分類番号は875900、医薬品コードは5900003F1021で、1966年12月24日に製造承認され、1967年7月1日に薬価基準に収載された長期使用実績のある製剤です。
参考)https://www.kotaro.co.jp/pdf/product/if/if_tp072.pdf
剤形は灰白色~淡褐色の錠剤で、識別コードはT72、直径9mm、厚さ5mm、重量0.33gです。添加剤はトウモロコシデンプンと乳糖水和物のみで、保存剤・安定剤・溶媒等は使用されていません。18錠(6.0g)中に日局ヨクイニンより抽出した水製乾燥エキス2.0gを含有します。
本剤はハトムギ(薏苡仁)の種皮を除いた種子から作られる生薬で、古くから筋骨のひきつれやリウマチ、神経痛などに用いられてきました。江戸時代の文献「青嚢瑣探」には疣贅治療への使用記載があり、昭和58年の第21次再評価で現在の効能・効果(青年性扁平疣贅、尋常性疣贅)に確定しています。
ヨクイニンエキス錠「コタロー」の効能・効果は「青年性扁平疣贅、尋常性疣贅」に限定されています。これはヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって生じるウイルス性のいぼであり、手足や顔、体幹などに表面がざらざらとした硬いしこりとして現れる病変です。
重要な点として、老人性疣贅(脂漏性角化症)や軟性線維腫(スキンタグ)、水いぼ(伝染性軟属腫)など、ウイルス感染とは関係のないいぼや他の皮膚病変には効果が期待できません。臨床現場では、いぼの形態や発生部位を正確に診断し、適応を判断することが不可欠です。
参考)ヨクイニンのいぼ治療への効果・副作用|皮膚科医が解説
皮膚科の臨床経験では、特に小さなお子さんや液体窒素療法などの物理的治療に抵抗がある患者に対して、補助的に内服を提案することが多く、多発性のいぼや再発を繰り返す症例で有用性が報告されています。効果発現には個人差があり、数週間から数ヶ月、場合によっては半年以上の継続服用が必要となる傾向があります。
成人の標準用量は、ヨクイニンエキスとして1日1.0~2.0gを3回に分割経口投与します。錠剤換算では1日9~18錠を3回に分けて服用し、1回あたり3~6錠(ヨクイニン水製乾燥エキスとして0.33~0.66g)が目安となります。年齢・症状により適宜増減します。
小児用量は特に定められていませんが、Von Harnackの小児薬用量換算表に準ずる目安として、12歳で成人用量の2/3(1日6~12錠)、7.5歳で1/2(1日4~9錠)とされています。ただし、錠剤(直径約9mm)のため5歳未満の乳幼児にはのどにつかえるおそれがあり、服用させないことが望ましいと添付文書で明記されています。
服用タイミングは食前または食間が原則ですが、胃腸が弱い患者には食後服用を指導することもあります。漢方薬は空腹時に服用することで吸収が良くなるとされていますが、胃部不快感などの消化器症状が現れる場合は、食後服用や用量調整で対応します。
副作用発現頻度は使用成績調査が実施されていないため不明ですが、頻度不明の副作用として過敏症(発疹、発赤、瘙痒、蕁麻疹等)と消化器症状(胃部不快感、下痢等)が添付文書に記載されています。これらの症状があらわれた場合には投与を中止することが推奨されています。
重大な副作用の記載はありませんが、肝機能障害の報告が稀にあるため、長期服用する患者には定期的な血液検査(AST、ALT、γ-GTP等)による肝機能確認を考慮します。アレルギー体質の方やハトムギに対してアレルギーがある方は服用を避けるべきです。
高齢者への投与では、一般に生理機能が低下しているため減量するなど注意が必要です。妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与します。動物実験で子宮収縮作用が報告されており、流産の危険性も示唆されているため、妊娠中の服用は原則避けます。
薬効薬理に関する項目では、抗ウイルス作用が示唆されています。健常人に投与したところ、末梢血リンパ球サブセットでNK活性細胞であるCD16+CD57-およびMHC非拘束性細胞障害性T細胞であるCD3+CD56+の比率が増加したとの報告があります。これにより、HPVに感染した疣贅細胞が排除されやすくなると考えられています。
保存条件は室温保存で、有効期間は設定されていませんが使用期限は3年(容器・外箱に記載)です。本剤は吸湿しやすく、湿気を帯びた手で触れると褐色に変色したり変形することがあるため、開封後は速やかにキャップを固く締めて保管します。気密性の高い容器に入れ、直射日光の当らない涼しい場所に保管してください。
冷所(冷蔵庫など)に保管した場合、取り出し後そのまま放置されると結露により吸湿して変色の原因となるため、速やかに保管場所に戻すよう患者指導が必要です。また、天然の生薬を原料としているためロットにより色調等に異同がありますが、効能その他に変わりはありません。