1歳3ヶ月の言葉はどのくらい?発達の目安と相談基準

1歳3ヶ月の言葉はどのくらい?発達の目安と相談基準

1歳3ヶ月の言葉はどのくらいが目安なのか、発語数だけでなく理解・指さし・聞こえから解説します。医療従事者が保護者に説明したい観察点、家庭での関わり方、相談につなげるサインをどう整理すればよいでしょうか?

1歳3ヶ月の言葉はどのくらい?発達の目安と評価の基本

一歳三ヶ月の言葉を見守る三つの視点
語数は目安であり診断基準ではない

言おうとする単語は発達の手がかりです。語数だけで判断せず、理解や身振り、聞こえも合わせて確認します。

理解と指さしにも注目する

身近な物の名前への反応や、身振りを添えた依頼への応答、欲しい物を指さす行動も大切な観察点です。

気になる変化は健診前でも相談

発語の乏しさに加えて聞こえへの心配や、できていたことの消失があれば、健診を待たず医療者に相談します。


1歳3ヶ月の言葉の目安は「単語を言おうとする姿」


「1歳3ヶ月で言葉はどのくらい出ていればよいですか」という質問には、まず、生後15か月では身近な単語を言おうとする姿が一つの目安になると説明します。米国疾病予防管理センター(CDC)は、15か月までの言語・コミュニケーションの発達指標として、「ママ」「パパ」以外の単語を1~2語言おうとすることを挙げています。ここで重要なのは、明瞭に発音できることではなく、意味のある言葉を使おうとする段階を含む点です。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
ただし、この「1~2語」を日本の子どもの平均語彙数や、正常・異常を分ける最低語数として扱うことはできません。CDCの発達指標は、その年齢までに75%以上の子どもができることとして設定されており、平均値とは異なります。また、チェックリストは標準化された発達スクリーニング検査の代わりではありません。「2語あれば必ず問題ない」「1語もなければ特定の病気」といった判定には使わないことが大切です。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
初期の言葉は、大人と同じ発音にならないことがあります。CDCも、ボールを意味する英語の「ball」を「ba」と言うような不完全な発音を例示しています。日本語の保護者面談でも、例えば犬を見たときの「わんわ」などについて、どの場面で、何を指して、どの程度繰り返して使うかを聞くと、子どもの表出を具体的に把握しやすくなります。単なる音の反復なのか、対象や要求と結びついた発声なのかを、実際の使用場面から確認します。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
言葉の発達には個人差がありますが、「個人差があるから何もしなくてよい」という説明も適切ではありません。保護者の心配がある場合は、その内容を具体化し、発語だけでなく言葉の理解、身振り、聞こえ、全体的な発達を合わせて確認することが基本です。米国国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)も、言語発達の個人差を示す一方、気になる場合は医師へ相談するよう勧めています。
nidcd.nih(https://www.nidcd.nih.gov/health/speech-and-language)
CDC:生後15か月までの発達の目安


発語数だけでなく理解・身振り・聞こえを確認する

評価では、自分から言葉で伝える「表出言語」と、相手の言葉を理解する「受容言語」を分けて考えると整理しやすくなります。NIDCDは、他者の言葉を理解することと、自分の考えを伝えることを異なる側面として説明しています。発語が少ないという訴えでも、理解や非言語的なやり取りがどのように育っているかによって、追加で確認すべき内容が変わります。
nidcd.nih(https://www.nidcd.nih.gov/health/speech-and-language)
15か月の観察では、名前を聞いて身近な物を見るか、言葉と身振りを組み合わせた依頼に応じるか、欲しい物や助けを求めて指さすかを確認します。例えば、大人が手を差し出しながら「おもちゃをちょうだい」と言ったときに渡せることは、CDCが示す指標の一つです。この時期に「身振りなしの言葉だけで、どんな指示にも従えること」を一律に要求しないよう注意します。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)

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項目 基準・内容 備考
言葉の表出 「ママ」「パパ」以外に1~2語を言おうとすることがCDCの15か月指標 平均語彙数や診断の境界値ではない。
身近な言葉の理解 物の名前を言われると、その身近な物を見る 家庭での具体的な反応を聞く。
依頼への応答 言葉と身振りを組み合わせた依頼に応じる 手を差し出して「ちょうだい」と伝える場面など。
指さしによる要求 欲しい物や助けを求めて指さす 声以外の伝達手段にも注目する。
対人交流 好きな物を大人に見せるなどの関わりがある 発語と合わせてやり取りの様子を確認する。
聞こえ 音への反応や聞こえに関する心配を確認する 言語発達の評価に聴力検査が含まれることがある。

医療従事者は、これらを単純な合格・不合格の一覧として示すのではなく、「どの力が育っているか」「何をもう少し詳しく調べるか」を保護者と共有するために使います。CDC自身も、達していない指標や保護者の心配がある場合には医師へ相談し、必要に応じて発達スクリーニングにつなげるよう勧めています。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)


言葉が出ないときに確認するサインと相談の目安

1歳3ヶ月で意味のある言葉が確認できない場合は、その事実だけで診断を決めず、かかりつけ小児科などで相談することを勧めます。「1歳半までは必ず待つ」と一律に説明する必要はありません。CDCは、一つ以上の発達指標に達していない場合、以前できていたことができなくなった場合、その他の心配がある場合に、早めの相談を促しています。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)

  • 意味のある単語を言おうとする様子が見られず、保護者が言葉の発達を心配している。
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  • 名前を聞いて身近な物を見ることや、身振りを添えた簡単な依頼への応答が乏しい。
  • cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)

  • 欲しい物や助けを求める指さしなど、声以外で伝える行動も乏しい。
  • cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)

  • 音への反応や聞こえ方に心配があり、言葉を十分に聞き取れているか確認したい。
  • nidcd.nih(https://www.nidcd.nih.gov/health/speech-and-language)

  • 以前使っていた言葉や身振りなど、いったん獲得した技能が失われた。
  • cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)

特に、できていたことの消失は、単に「まだ言葉が増えない」ことと区別して伝える必要があります。保護者からは「前は言っていたのに最近言わない」という表現で語られることもあるため、何を、いつごろまで、どの場面で使っていたかを整理します。CDCも、獲得済みの技能が失われていないかを医師に共有する項目として挙げています。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
言葉の遅れが気になる場合、聞こえの評価も重要です。NIDCDは、聴覚の問題が言語発達に影響することがあるため、評価に聴力検査が含まれることが多いと説明しています。必要に応じて小児科から耳鼻咽喉科や聴覚評価の担当へつなぐなど、発語への対応だけに限定しない視点が求められます。
nidcd.nih(https://www.nidcd.nih.gov/health/speech-and-language)
保護者には、相談は病名を決めるためだけのものではなく、子どもの理解や伝え方、聞こえを整理し、家庭でできる支援を考える機会でもあると説明できます。NIDCDでは、医師への相談後、言語の専門職によるコミュニケーションと全体的発達の評価、家庭での活動の提案、必要に応じた追加評価などが行われるとしています。
nidcd.nih(https://www.nidcd.nih.gov/health/speech-and-language)
NIDCD:言語発達の目安と心配があるときの対応


家庭では言わせる練習より応答的なやり取りを重ねる

家庭での関わり方は、語数を増やすことだけを目的にせず、子どもの関心に合わせて言葉を添え、反応を受け止める形で提案します。CDCは、子どもの不完全な言葉を繰り返して少し付け足すこと、指さした物の名前を伝えること、日常的に話す・読む・歌うことなどを勧めています。保護者面談では、特別な教材の説明より、普段の生活に取り入れられる具体例を示すと伝わりやすくなります。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
例えば、子どもが車を見て「ぶ」と言ったら、「車だね」「ブーブー、走っているね」と短く返します。大人と同じ発音への訂正を繰り返すのではなく、子どもが伝えようとした内容を受け止め、その対象に合った言葉を示す方法です。これは、CDCが勧める「子どもの言葉を繰り返し、付け足す」という関わりを、日本語の生活場面に置き換えた例です。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
指さしに対して物の名前を伝えた後は、子どもが声を出すか、数秒待つ関わりも紹介できます。声が出た場合はそれに応答し、もう一度名前を伝えます。ただし、この提案を「言えるまで物を渡さない」という訓練に置き換えないことが重要です。CDCの提案は、指さしや発声をやり取りにつなげるものであり、正しい発音を物の受け渡しの条件にするものではありません。
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絵本は、文章を最後まで読み切ることだけにこだわらず、子どもが見ている絵を一緒に見ながら名前を伝える機会として使えます。家族やペットの写真を一緒に見て名前を呼ぶ、身振りのある歌で遊ぶなども、CDCが紹介している活動です。同じ本や歌を繰り返し楽しむことも、日常の関わりに取り入れられます。
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動画やアプリについて相談された場合は、機器による学習だけでなく、人との会話や遊びを中心に考えると説明します。CDCの15か月向け資料では、2歳未満のスクリーン利用を親しい人とのビデオ通話に限定することを勧め、子どもは他者と話し、遊び、交流することで学ぶとしています。一方で、言葉への心配がある家庭に対して、利用時間だけを取り上げて原因を決めつけるのではなく、発達全体の評価につなげる姿勢が必要です。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)


医療従事者が保護者に説明するときの要点と健診へのつなぎ方

保護者への説明では、「何語話せますか」だけで終わらず、実際に使う音や言葉、その場面、理解できる言葉、指さし、聞こえについて順に尋ねます。CDCの15か月指標に沿って、発語、身近な物への反応、身振りを添えた依頼への応答、要求の指さしを分けて確認すると、語数だけでは捉えにくいコミュニケーションの姿を共有できます。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
説明の例としては、「15か月では、ママ・パパ以外の言葉を1~2語言おうとすることが一つの目安です。ただ、平均語数や診断の基準ではありません。物の名前が分かるか、指さしで伝えるか、音への反応はどうかも一緒に確認しましょう」と伝えられます。数値の意味と限界を同時に示すことで、根拠のない安心や、語数だけによる過度な不安を避ける説明になります。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
日本の1歳6か月児健診では、運動や言語の発達などを確認します。こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイトは、確認内容の例として、大人の簡単な言葉が分かるか、指さしをするかなどを挙げています。つまり、健診でも「何語話すか」だけを見ているわけではなく、言葉の理解や生活の中の発達を合わせて確認します。
mchbook.cfa.go(https://mchbook.cfa.go.jp/category04/page04_01.php)
健診は、病気の早期発見や必要な支援への接続に加え、育児の心配事を相談できる場です。保護者が回答した問診票や母子健康手帳の記録も参考にされるため、使っている言葉とその場面、理解していると感じる言葉、気になり始めた時期などを整理しておくと、相談内容を具体的に伝える助けになります。ただし、発達への心配や技能の消失があるときは、1歳6か月児健診まで待たず、かかりつけ医などに相談する方針を共有します。
cdc(https://www.cdc.gov/act-early/milestones/15-months.html)
1歳3ヶ月の言葉を評価する際の中心は、語数よりもコミュニケーション全体を捉えることです。発語の目安を示したうえで、理解、指さし、対人交流、聞こえ、これまでの変化を確認し、心配があれば評価につなげます。家庭での応答的な関わりを提案することと、必要な相談・検査を行うことは、どちらか一方を選ぶのではなく、並行して考える対応です。
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こども家庭庁:乳幼児健診と1歳6か月児健診の確認内容




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