

ストロメクトール錠3mgは、有効成分としてイベルメクチンを含有する経口駆虫薬である。日本で承認されている効能又は効果は、腸管糞線虫症および疥癬である。販売名はストロメクトール錠3mg、1錠当たりのイベルメクチン含量は3mgであり、白色の裸錠として供給される。医療従事者は「ストロメクトール購入」という検索語や相談の背景に、疥癬への感染不安、診断後の処方希望、家族・施設内接触者への対応への疑問、あるいは適応外使用への期待が混在している可能性を踏まえる必要がある。
本剤は劇薬および処方箋医薬品に区分され、「注意—医師等の処方箋により使用すること」とされている。したがって、一般用医薬品のようにドラッグストアや通信販売で任意に選択して購入する医薬品ではない。患者が正規に入手する経路は、症状、曝露歴、既往歴、併用薬、妊娠・授乳状況等を医師が評価したうえで処方を受け、保険薬局または院内で調剤を受ける流れが基本となる。医療従事者が購入希望を受けた際には、単に薬剤の在庫や価格を案内するのでなく、まず受診と診断の必要性を明確に伝えることが重要である。
参考)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/170050_6429008F1020_2_07
特に疥癬では、添付文書上、確定診断された患者、または疥癬患者と接触する機会があり、かつ疥癬の症状を呈する者に使用することとされている。掻痒のみを理由に本剤を反復投与することは適切ではない。湿疹、薬疹、皮膚乾燥症、虫刺症、接触皮膚炎などとの鑑別に加え、皮疹分布、夜間掻痒、同居者や施設内での症状、角化の有無、必要に応じた検鏡所見などを組み合わせ、処方の妥当性を判断する。
PMDA:ストロメクトール錠3mg電子添文
ストロメクトールの用量は「何錠を購入するか」ではなく、適応、体重、投与回数、治療後の評価計画から決定する。腸管糞線虫症では、通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを2週間間隔で2回経口投与する。疥癬では、通常、同じく体重1kg当たり約200μgを1回経口投与する。ただし、重症型である角化型疥癬等では、初回投与後1~2週間以内に検鏡を含めて効果を確認し、2回目の投与を考慮する。
添付文書では体重区分に応じて1回当たりの3mg錠数が示されている。購入時・調剤時には体重の聴取漏れや、前回処方の残薬を用いた自己調整を避け、今回の適応に対応した投与設計であることを確認する。80kg以上では一律の錠数ではなく、約200μg/kgを基準として医師が必要量を判断する。用法・用量は製品情報の改訂によって変わる可能性があるため、実務では処方時点の最新電子添文を参照する。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 有効成分 | イベルメクチン | ストロメクトール錠3mgは1錠中3mg含有 |
| 腸管糞線虫症 | 約200μg/kgを2週間間隔で2回経口投与 | 糞便内幼虫が陰転しない場合は再投与を考慮 |
| 疥癬 | 約200μg/kgを1回経口投与 | 重症型では治療効果を確認し2回目を検討 |
| 15~24kg | 3mg錠を1錠 | 1回当たりの標準的な錠数 |
| 25~35kg | 3mg錠を2錠 | 1回当たりの標準的な錠数 |
| 36~50kg | 3mg錠を3錠 | 1回当たりの標準的な錠数 |
| 51~65kg | 3mg錠を4錠 | 1回当たりの標準的な錠数 |
| 66~79kg | 3mg錠を5錠 | 1回当たりの標準的な錠数 |
| 80kg以上 | 約200μg/kg | 体重に基づき個別に必要量を判断 |
服用時は水のみで服用するよう指導する。本剤は脂溶性物質であり、高脂肪食により血中薬物濃度が上昇するおそれがあることから、空腹時投与が望ましいとされる。患者が「食後のほうが胃に優しい」と自己判断して食後に服用することや、服薬時刻を大きくずらすことがないよう、処方医・薬剤師が具体的なタイミングを説明する必要がある。
本剤の購入希望を処方相談につなげる場面では、適応確認に加えて禁忌、特定の背景を有する患者、重篤な副作用に関する評価を行う。本剤の成分に対する過敏症の既往歴がある患者には投与しない。妊婦または妊娠している可能性のある女性に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。授乳婦では、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳継続または中止を検討する。
体重15kg未満の小児については、臨床試験が実施されていない。高齢患者では、肝・腎・心機能の低下、合併症、併用薬が多い可能性を踏まえ、個別評価が欠かせない。また、ロア糸状虫による重度感染を併発している患者では、まれに重篤または致命的な脳症が起こり得ること、オンコセルカ症またはロア糸状虫症の併発患者では中枢神経系症状やマゾッティ反応に注意を要することが記載されている。海外渡航歴・居住歴・出生地・寄生虫感染歴を含めた問診が、必要な患者群では重要となる。
疥癬の治療初期には掻痒が一過性に悪化することがある。また、ヒゼンダニの死滅後もアレルギー反応として全身の掻痒が遷延することがあるため、患者は「かゆみが残る=薬が効いていない」と受け止め、残薬や他者の薬を使って自己追加投与しやすい。特徴的皮疹の新規出現や感染所見がない場合、掻痒の持続だけを理由に漫然と再投与しないことを、治療開始時点で具体的に説明する。疥癬では本人の服薬だけで完結させず、接触者への対応、環境整備、施設内発生時の感染対策を診療・感染対策チームと連携して実施する視点も必要である。
ストロメクトールでは、そう痒、発疹、蕁麻疹、肝機能検査値異常、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、めまい、傾眠、振戦、貧血、好酸球数増加などが報告されている。頻度が明確でない重大な副作用として、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、肝機能障害、黄疸、血小板減少、意識障害が挙げられる。購入時に患者へすべてを一律に読み上げるのではなく、直ちに相談・受診につなげるべき症状を、平易な表現で優先して伝えることが重要である。
具体的には、広範囲の発疹、水疱、粘膜のただれ、発熱を伴う皮膚症状、皮膚や白目の黄染、濃い尿、強い倦怠感、出血傾向、意識がもうろうとする、普段と異なる反応がみられるといった場合には、服用を中止し、速やかに医療機関へ連絡するよう指導する。意識障害があらわれることがあるため、服用後に自動車運転、高所作業、危険機械の操作を行う患者には、生活・就労背景を踏まえた具体的な注意喚起が必要となる。
動物用イベルメクチン製剤への曝露を含む偶発的中毒では、発疹、接触性皮膚炎、浮腫、頭痛、めまい、悪心、嘔吐、下痢、発作、運動失調、呼吸困難、腹痛、異常感覚、蕁麻疹などが報告されている。人用医薬品と動物用製剤は用途・製剤設計・濃度・品質管理が異なり、代替として用いるべきではない。処方薬の不足や入手困難を理由に、患者が動物用製品や海外サイトで販売される不明な製品へ向かうリスクを念頭に、医療従事者は正規流通品を用いる意義を明確に説明する。
「ストロメクトールを通販で購入したい」「海外サイトでイベルメクチンを買えるか」と相談された場合、医療従事者は購入先の紹介や自己使用を後押しするのではなく、国内での承認適応、診察・処方の必要性、個人輸入に伴う品質・安全性上のリスクを説明する。厚生労働省は、海外からの個人輸入品について、日本の医薬品医療機器等法に基づく品質、有効性、安全性の確認がなされていないこと、偽造品や有害物質を含む製品である可能性、表示内容の理解が難しいこと、専門家であっても副作用へ迅速に対応しにくいことを注意喚起している。
さらに、国内で正規流通する医薬品を適正に使用して重大な健康被害が発生した場合には医薬品副作用被害救済制度がある一方、個人輸入された医薬品による健康被害は同制度の救済対象とならない。個人輸入した医薬品を他者に販売・譲渡する行為には、医薬品医療機器等法に抵触するおそれもある。購入の利便性のみで判断せず、品質保証、診断、適正用量、経過観察、有害事象への対応、制度上の保護を一体として説明することが望ましい。
参考)医薬品等を海外から購入しようとされる方へ |厚生労働省
また、本剤は日本においてCOVID-19の治療薬として承認されていない。製造販売元は、承認された添付文書に記載される用法・用量および適応症以外での安全性・有効性を支持するデータはないとの見解を示しており、WHOもCOVID-19に対する使用を臨床試験以外では推奨しないとしている。風邪、インフルエンザ、COVID-19の予防または治療を目的に本剤を購入・服用したいという相談には、承認適応外であることを明確にし、患者の症状、重症化リスク、検査結果に応じた標準的診療へ案内する必要がある。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000243238.pdf
厚生労働省:医薬品等を海外から購入しようとされる方へ