

| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 抑制可能性 | 本人が一時的に咳を抑えられることがある。 | 抑えられることは、故意に症状を出しているという意味ではない。 |
| 注意転換による変化 | 別の活動に注意が向くと、咳の出方が変化する。 | 診察室以外の場面についても問診する。 |
| 被暗示性 | 咳についての話題や周囲からの働きかけで、症状が変化する。 | 所見を確認するために過度な誘発を繰り返す必要はない。 |
| 変動性 | 時間や状況によって頻度や程度が変わる。 | 一度の診察で症状が乏しくても、経過を確認する。 |
| 前駆感覚 | 咳の直前に、咳をしたくなる感覚や内的な衝動がある。 | 本人がどのように感じているかを、具体的な言葉で確認する。 |
| 夜間の咳・咳の音 | 夜間の有無や、犬吠様・大きな咳の音だけでは診断できない。 | 咳チックの診断にも除外にも、単独では用いない。 |
咳チックへの対応では、まず診断の根拠と、今後どのような変化があれば再評価するかを説明します。治療の必要性は咳の回数だけで決めず、本人の苦痛、学習・仕事への支障、対人関係への影響などから判断します。AANのチック治療ガイドラインでは、機能障害がない場合に経過観察を選ぶことは許容されるとしています。ただし、これは診断と評価を行ったうえでの方針であり、長引く咳を無評価で放置する意味ではありません。
参考)https://www.aan.com/guidelines/home/getguidelinecontent/960
治療を希望する場合や生活への支障がある場合は、包括的行動的介入であるCBITを検討します。CBITは、習慣逆転法、リラクセーション、チックを持続・増悪させる状況への機能的介入を組み合わせた治療です。AANは、利用可能であれば、薬物療法に先立つ初期治療の選択肢としてCBITを提示するよう推奨しています。専門的な介入であり、単に「咳を我慢する練習」と説明するのは適切ではありません。
薬物療法は、症状による支障が大きい場合などに、専門医と利益・不利益を検討して選択します。チック治療では抗精神病薬やα2アドレナリン受容体作動薬などが検討されますが、眠気、血圧・脈拍への影響、体重増加、錐体外路症状、代謝・ホルモンへの影響など、薬剤に応じた監視が必要です。海外ガイドラインで挙げられた薬剤を、そのまま国内の咳チックに処方できると解釈せず、国内の適応や添付文書、年齢条件を確認する必要があります。
AAN:トゥレット症候群・慢性チック症の治療ガイドライン要約
チック症の専門評価では、注意欠如・多動症、強迫症、不安や気分の問題などの併存にも目を向けます。AANは、こうした併存症の評価と、機能障害がある場合の適切な治療を求めています。咳の頻度が減っても、登校への不安や集中困難などが残る場合には、咳だけを治療成果の指標にせず、本人の生活全体を評価することが重要です。
継続診療では、咳の程度、本人が感じる苦痛、学校・仕事への影響、治療による有害事象を確認します。チックには増悪と軽快を繰り返す経過があり、治療によって完全に消失するとは限りません。治療目標は「咳を必ずゼロにする」と固定せず、「授業や会話への支障を減らす」「本人の負担を軽くする」など、具体的な生活上の改善として共有します。
【第3類医薬品】ペラックT錠a 54錠