

| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| HbA1c | 合併症予防の基本目標は7.0%未満 | 個別目標であり、全患者共通の「不良」の境界ではない。 |
| HbA1cの評価期間 | おおむね過去2〜3か月の平均的な血糖状態 | |
| TIR | CGM値70〜180mg/dLに入る時間の割合。多くの非妊娠成人では70%超が目標 | |
| TBR:70mg/dL未満 | 多くの非妊娠成人では4%未満が目標 | |
| TBR:54mg/dL未満 | 1%未満が目標 | |
| CGMデータの充足 | パターン評価では原則14日間、データ取得率70%以上を目安とする |
たとえば「以前は安定していたが、最近になって高血糖が続く」というケースでは、生活の変化だけで説明を完結させず、感染症、薬剤変更、投与機器の不具合、必要インスリン量の変化を確認します。原因が修正可能な投与上の問題であれば、薬剤を追加する前にその問題への介入を検討できます。ただし、嘔吐や呼吸異常などの危険徴候がある場合は、原因分析より緊急評価を優先します。
血糖コントロール不良の診療では、通常の外来調整でよい状態と、急性代謝失調を疑う状態を区別します。強い口渇、多尿、倦怠感に加え、悪心・嘔吐、腹痛、速く深い呼吸、意識の変化などがある場合は、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)などを考慮します。DKAは直ちに治療が必要な医学的緊急事態であり、食事指導や次回受診までの経過観察だけで対応すべきではありません。
DKAは特にインスリン不足が問題となる患者で起こりやすく、感染症、インスリン投与の中断、ポンプの閉塞、投与量不足などが誘因になります。飲水を保持できない嘔吐や呼吸困難がある場合には、緊急受診につなげます。医療機関では血糖値だけで判断せず、ケトン体、酸塩基平衡、電解質、腎機能などを含めて急性代謝失調を評価します。
SGLT2阻害薬の使用中は、血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスが起こり得る点に注意が必要です。日本糖尿病学会の適正使用に関するRecommendationでは、全身倦怠感、悪心・嘔吐、腹痛などがある場合、正常血糖ケトアシドーシスを考慮し、血中ケトン体、直ちに測定できなければ尿ケトン体を確認するとともに、専門医へ相談するよう示されています。「血糖がそれほど高くない」という理由だけで緊急性を否定しないことが重要です。
参考)https://www.jds.or.jp/uploads/files/recommendation/SGLT2.pdf
日本糖尿病学会:SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation
発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などがあるシックデイでは、普段と同じ食事や服薬ができないことを想定した対応計画が必要です。日本糖尿病学会は、SGLT2阻害薬について、こうしたシックデイには休薬するよう示しています。一方、基礎インスリンは原則として継続し、食べられないことを理由に自己判断で完全中止しないよう指導します。具体的な投与量や他の薬剤の扱いは、血糖、摂取量、脱水、腎機能などを踏まえた個別の指示が必要です。