

「ジクアス点眼液市販」という検索に対する結論は、ジクアス点眼液3%は一般用医薬品としてドラッグストアなどで自由に購入する薬ではなく、医師等の処方箋により使用する処方箋医薬品だということです。ジクアスLX点眼液3%も同じく処方箋医薬品に分類されています。患者から購入方法を尋ねられた場合は、眼科などの医療機関で診察を受け、処方に基づいて薬局で調剤してもらう流れを説明します。
参考)医療用医薬品 : ジクアス (ジクアス点眼液3%)
ここで注意したいのは、「薬局では購入できない」という表現です。処方箋を受け付ける薬局ではジクアスを調剤できますが、市販の目薬と同じように、処方箋なしで商品棚から選んで購入できるわけではありません。医療従事者向けの記事や患者説明では、処方箋医薬品という区分を明示し、「薬局で扱っていない薬」と「処方箋が必要な薬」を混同させないことが重要です。
また、医療用のジクアホソルナトリウム点眼液には後発医薬品も存在します。ただし、後発医薬品は同成分の市販薬ではありません。例えばジクアホソルNa点眼液3%「ニットー」も処方箋医薬品です。「ジェネリックなら受診せずに買える」という理解は正しくないため、費用に関する相談と入手条件に関する相談を切り分けて対応します。
参考)医療用医薬品 : ジクアホソルNa (ジクアホソルNa点眼液…
KEGG MEDICUS:ジクアス点眼液3%の医薬品情報
厚生労働省:スイッチOTC候補成分と検討結果
ジクアス点眼液は、涙の成分であるムチンや水分の分泌を促進し、涙の状態を改善することで角結膜上皮障害の改善を図るドライアイ治療薬です。外から水分を補う人工涙液とは治療上の役割が異なります。患者説明では、「目を一時的にぬらすだけの目薬」ではなく、「涙液の状態を改善するために処方されている薬」と伝えると、継続使用の目的を理解してもらいやすくなります。
参考)くすりのしおり : 患者向け情報
効能・効果はドライアイですが、使用対象については、涙液異常に伴う角結膜上皮障害が認められ、ドライアイと診断された患者に使用することとされています。したがって、「目が乾く」という自覚症状だけを根拠に、ジクアスが必要だと判断することはできません。日本眼科学会のスイッチOTC化に関する見解でも、角結膜表面の状態を評価し、医師の診断に基づいて使用すべき点が指摘されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001597750.pdf
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 通常製剤 | ジクアス点眼液3%:通常、1回1滴、1日6回 | 1日3回製剤ではない。 |
| LX製剤 | ジクアスLX点眼液3%:通常、1回1滴、1日3回 | 通常製剤とは承認された点眼回数が異なる。 |
| 有効成分 | いずれもジクアホソルナトリウム | 同じ3%でも製剤設計を区別する。 |
| LXの製剤上の特徴 | 添加剤としてポビドンを配合 | ムチンや水分との相互作用により、涙液の滞留性が増すと考えられている。 |
| 入手区分 | いずれも処方箋医薬品 | 一般用医薬品としての自由購入とは異なる。 |
メーカーの医療従事者向け情報では、通常製剤は生活に合わせて2~3時間ごと、LX製剤は4~6時間ごとの点眼が案内されています。ただし、これは患者が製剤を自由に選んだり、回数を変更したりしてよいという意味ではありません。処方された製品名と用法を照合し、生活時間帯に合わせて実行可能な点眼計画を考えるための情報として扱います。
例えば、「以前は1日6回だったが、今回は1日3回と説明された」という相談では、まず容器、薬袋、お薬手帳で通常製剤からLX製剤への変更があるかを確認します。同成分・同濃度という理由だけで、通常製剤の回数を半分にしたり、LX製剤を以前と同じ6回で使ったりすることは避けるべきです。メーカーは、承認用法を下回る、または上回る回数での臨床的な有効性・安全性は検討されておらず不明としています。
ジクアスと同成分の市販薬が確認できないことと、目の乾きに使用できる市販薬がないことは別の問題です。市販の人工涙液には、涙液不足に伴う目の乾きや不快感を改善する目的の製品があります。ただし、「ジクアスの代わりになる」「処方薬と同じ効果がある」と一括して説明するのは適切ではありません。人工涙液による涙液の補助と、ジクアホソルナトリウムによる分泌促進は区別して案内します。
具体例として、ソフトサンティアは涙液に近い性質を持つ人工涙液型の一般用医薬品です。効能・効果には、涙液の補助としての目の乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感、目の疲れなどが記載されています。用法・用量は1回2~3滴、1日5~6回であり、ジクアスの「1回1滴」をそのまま適用する薬ではありません。製品ごとの添付文書に基づく説明が必要です。
医療従事者が購入相談に対応するときは、まず「処方薬がなくなったので補充したい」のか、「初めて目の乾きを感じたので市販薬を探している」のかを確認します。前者では処方治療の継続に関する相談、後者では症状と市販薬の適応に関する相談として整理できます。少なくとも、治療中の患者に対して人工涙液への自己判断の置き換えを勧めるのではなく、処方元や調剤薬局への相談につなげる説明が必要です。
KEGG MEDICUS:ソフトサンティアの効能・使用上の注意
ジクアスの服薬指導では、点眼回数だけでなく、容器の扱いと点眼後の操作も確認します。点眼前は手を洗い、容器先端が目、まぶた、まつ毛などに触れないようにします。点眼後はまばたきを繰り返さず、1~5分程度まぶたを閉じ、目頭のやや鼻側にある涙嚢部を軽く押さえます。あふれた液は清潔なガーゼやティッシュで拭き取るよう案内します。
他の点眼薬を併用する場合は、5分以上の間隔を空けることが基本です。ただし、「順番は常に関係ない」と一律に説明するのも避けます。メーカーFAQでは、点眼順序の違いによる効果の差は臨床的に明確ではないとしたうえで、薬理作用を踏まえた順序が示されています。ヒアルロン酸ナトリウム点眼液との併用ではジクアス類を先に、懸濁性点眼液やゲル化製剤との併用でもジクアス類を先に点眼する案内があります。実際の指導は処方内容と医師の指示に合わせます。
点眼を忘れた場合は、気づいたときに1回分を点眼します。ただし、次の点眼時間が近い場合は忘れた分を飛ばし、次の通常の時間に1回分を使います。2回分を一度に点眼してはいけません。「忘れた回数をまとめて補う」という誤使用を防ぐため、口頭での説明に加え、患者本人に対応方法を言い返してもらうなど、理解を確認する形での指導が考えられます。
副作用相談で特に把握したいのは、眼刺激や眼痛です。メーカーが示す通常製剤の承認時までの臨床試験では、655例中、眼刺激が44例、6.72%、眼痛が18例、2.75%に認められています。一方、使用成績調査では頻度が異なるため、試験と調査の数値を混ぜて説明しないことも重要です。刺激があるから必ず治療失敗と判断できるわけではありませんが、強い刺激で点眼できないなどの場合は医師または薬剤師への相談が必要です。
コンタクトレンズについても、「この薬なら装用を続けてよい」と単純化しないようにします。メーカーFAQでは、病状悪化の防止という観点から、ドライアイ治療中はコンタクトレンズ装用を中止することが原則とされています。一方、個々の患者で装用中の治療が問題ないと判断される場合には、通常のハード・ソフトコンタクトレンズ装用中の点眼は可能と考えられています。カラーコンタクトレンズへの影響は検討されていないため、装用中の点眼は避ける案内です。
「病院へ行かず、市販薬で済ませたい」という希望に対しては、購入可否だけを伝えて終わらず、なぜ診断が必要かを説明することが大切です。ジクアスの使用対象には、涙液異常に伴う角結膜上皮障害とドライアイの診断という条件があります。乾燥感や異物感といった自覚症状だけでは、角結膜表面の状態や薬剤の適応を判断できません。日本眼科学会の見解も、こうした理由から医師による評価の必要性を示しています。
市販薬の相談では、特に強い目の痛みを確認します。ソフトサンティアの添付文書では、はげしい目の痛みがある人は使用前に相談することとされています。また、緑内障の診断を受けた人や、薬によるアレルギー症状の既往がある人も相談対象です。医療従事者は「乾燥用の目薬だから誰でも問題ない」と説明せず、既往歴、治療状況、症状を照合して、市販薬の適否と診察の必要性を検討します。
市販薬を使用しても目のかすみが改善しない場合は、単に別の商品へ買い替える案内では不十分です。ソフトサンティアでは、かすみが改善されない場合、または2週間くらい使っても症状がよくならない場合に、使用を中止して相談するよう定められています。この「2週間」は、どのような症状でも必ず2週間待つという意味ではありません。強い痛みがある人は使用前の相談対象であることと併せて説明し、相談を先延ばしにさせないことが重要です。
患者への説明例としては、「ジクアスは涙の成分の分泌を促す処方薬で、市販の人工涙液とは別の薬です。人工涙液は目の乾きを補助する目的で使えますが、今の治療を同じ効果で置き換えられるとは限りません。処方薬がなくなりそうな場合は、処方元や薬局に相談してください」といった伝え方が考えられます。薬の区分、作用の違い、次に取るべき行動を一度に示すことで、「似た目薬なら同じ治療になる」という誤解を減らせます。
なお、妊娠・授乳中や小児への使用相談では、市販購入の話だけで判断しないことが必要です。メーカーは、妊婦・授乳婦について患者ごとの病状や薬物動態などを踏まえた判断を求めています。また、小児等を対象とした臨床試験は実施されていません。点眼薬であることを理由に一律に安全と説明せず、最新の電子添文と処方医の判断に沿って対応します。
本稿の購入区分と用法は、2026年10月6日の調査で確認できた公開情報に基づいています。スイッチOTC化の検討状況、承認内容、製品の供給状況は別々の情報であり、記事更新時にも区別して確認する必要があります。実務では、メーカーの製品情報とPMDAの添付文書等情報検索で最新情報を確認し、患者には実際に処方された製剤名と使用方法に即した説明を行います。
参考)スイッチOTC医薬品の候補となる成分及びその検討結果について…
参天製薬:ジクアス・ジクアスLXの製品情報
PMDA:医療用医薬品の添付文書等情報検索