

| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 両眼PD | 左右の瞳孔中心間の距離 | 一つの数値で表す。左右それぞれの位置までは分からない |
| 単眼PD | 鼻根部中央などの基準から各眼の瞳孔中心までの距離 | 右眼・左眼を分けて記録し、顔の非対称性を反映する |
| 遠用PD | 遠方を見る条件で評価するPD | 眼鏡処方箋では通常、遠用PDを基本情報として記載する |
| 近用PD | 近方を固視したときのPD | 輻湊や作業距離の影響を受けるため、測定距離も重要になる |
| 累進レンズの装用位置 | PDに加え、選択したフレームでの瞳孔の高さなどを評価 | 水平方向の数値だけでは適切なフィッティングを完結できない |
近方を見るときには両眼が内側に向く輻湊が生じ、近用PDは通常、遠用PDより小さくなります。ただし、その差を全患者で一律に扱うのは適切ではありません。日本眼科学会の2025年の手引きでは、通常は遠用PDを基に近用や遠近累進屈折力レンズの光学中心も設定される一方、近見時の斜視や眼軸長が標準的でない場合には、実測値を記載するとしています。「近用値は毎回必須」とするのでも、「遠用値から常に同じ量を引けばよい」とするのでもなく、症例に応じて判断します。
参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/PrescribingGlassesAdultsClinical.pdf
定規で瞳孔中心を基準に読む方法と、角膜反射を利用する機器による方法は、観察している指標が同一とは限りません。異なる方法の測定値に差が出たときは、単に平均を取るのではなく、固視、基準点、姿勢、機器設定を確認します。臨床記録では測定法を残しておくと、再測定や他職種との照合に役立ちます。
斜視がある症例では、通常の両眼開放測定の値をそのまま採用する前に、固視眼と眼位を確認する必要があります。日本眼科学会の手引きでは、遠見で斜視がある場合に片眼ずつ遮閉して固視させる測定法が示されています。両眼の見かけ上の位置だけを追うのではなく、症例に適した測定条件を選ぶことが重要です。
日本眼科学会の手引きでは、眼鏡処方箋にレンズ度数、PD、レンズの種類などを記載することが示されています。特に累進屈折力レンズでは、レンズ面の位置によって度数が異なるため、水平方向のPDだけでは評価が不十分です。フィッティングポイントに視線が通るか、高さが適切か、眼鏡に傾きがないかも確認します。
患者が「新しい眼鏡では疲れる」と訴えたときは、
瞳孔距離
だけに原因を限定しないことが重要です。まず、症状が遠見と近見のどちらで起きるか、装用直後か長時間使用後か、以前の眼鏡ではどうかを確認します。そのうえで、度数や乱視軸、加入屈折力、レンズの種類、装用位置、レンズの汚れや傷、眼疾患の有無などを整理します。