


ベルツ水は、グリセリンカリ液の呼び名です。医療用医薬品としての薬効分類は皮膚軟化剤であり、水酸化カリウムとグリセリンを有効成分とする外用液です。患者から「ベルツ水を使っている」と聞いた場合には、名称だけで判断せず、実際の容器や薬剤情報を確認し、販売名、医療用か一般用か、使用方法を把握することが重要です。添付文書情報には、一般的名称としてベルツ水と記載された資料もあります。
参考)医療用医薬品 : グリセリンカリ液 (グリセリンカリ液「ケン…
医療用のグリセリンカリ液「JG」の効能又は効果は「手足のき裂性・落屑性皮膚炎」です。き裂は皮膚に割れ目が生じた状態、落屑は皮膚表面の角質が剥がれ落ちる状態を指し、患者向けには「手足のひびやあかぎれなどに使う薬」と説明できます。ただし、患者がいう「手荒れ」と承認された適応を無条件に同一視せず、患部の状態と処方意図を確認して説明する必要があります。
参考)https://www.data-index.co.jp/drugdata/pdf/2/580591_2662701X1303_1_05.pdf
ベルツ水について伝える際には、皮膚軟化剤という位置付けを中心に据えると、治療目的を説明しやすくなります。添付文書に示された作用は角質の軟化と皮膚の乾燥防止であり、消毒や殺菌を目的とする薬として紹介するのは適切ではありません。添加剤としてエタノールが含まれていても、それだけを根拠に手指消毒剤として扱わず、承認された効能・効果に沿って使用します。
一般用製剤や薬局で取り扱われる製剤の情報では、効能として「ひび、あかぎれ」、用法として「そのまま適量を患部に塗布する」と案内されている例があります。医療用製剤の説明をそのまま全製品に流用するのではなく、患者が使用する製品の説明文書に合わせることが大切です。とくに自己購入品を持参した場合は、処方薬との違いを含めて確認します。
参考)グリセリンカリ液[ベルツ水] 500mlの通販情報 - ナガ…
グリセリンカリ液「ケンエー」の添付文書情報
グリセリンカリ液「JG」は、100mL中に日本薬局方水酸化カリウム0.3g、日本薬局方グリセリン20mLを含み、添加剤としてエタノールと香料を含有します。水酸化カリウムの配合量は0.3%に相当し、グリセリンの配合量は100mL中20mLです。成分量を説明するときは、質量を示すgと体積を示すmLを混同せず、添付文書の単位を保持すると誤解を防げます。
作用機序として、水酸化カリウムは皮膚の角質を軟化し、グリセリンは皮膚軟化及び乾燥防止作用により皮膚の亀裂に対して効果を示すとされています。このため、ベルツ水を単に「グリセリン入りの保湿液」と説明すると、水酸化カリウムによる角質軟化作用や使用上の注意が伝わりません。成分の役割と刺激への注意を一緒に説明することが、適正使用につながります。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 水酸化カリウム | 100mL中0.3g | 皮膚の角質を軟化する。 |
| グリセリン | 100mL中20mL | 皮膚軟化及び乾燥防止に働く。 |
| 添加剤 | エタノール、香料 | ここでは「JG」の添付文書に基づく。 |
| 製剤の性状 | 無色澄明の液で、芳香がある。 | 「JG」の製剤情報。 |
| pH | 水溶液(1→5)で約12 | 原液の測定値と混同しない。 |
| 効能又は効果 | 手足のき裂性・落屑性皮膚炎 | 医療用「JG」の承認内容。 |
表の内容はグリセリンカリ液「JG」の添付文書に基づきます。とくにpHは測定条件を含めて読む必要があり、「水溶液(1→5)のpHは約12」という記載を「原液のpHが12」と書き換えてはいけません。また、この記載は製剤の性状を示すものであり、患者に五倍希釈して使うよう指示する記載ではありません。用法・用量は別項目に示された塗布方法で確認します。
エタノールの量についても製品ごとの確認が必要です。一般用製剤の資料には100mL中エタノール25mLと記載された例がありますが、「JG」の添付文書では添加剤名の記載にとどまっています。ある製品の配合量を別製品にそのまま当てはめず、記事や患者説明資料では、数値の根拠となる製品を明示してください。
医療用グリセリンカリ液「JG」の用法・用量は「通常1日1~数回適量を患部に塗布する」です。患者指導では、処方された回数や医師の指示を優先し、症状が気になるからといって塗布回数を自己判断で増やさないよう説明します。添付文書には一回あたりの量がmL単位で規定されていないため、独自に一律の数値を設けるのではなく、塗布する部位と範囲に合わせて指示を具体化します。
使用部位の注意として、粘膜には使用しないことが明記されています。一般用製剤の案内では、目に入らないよう注意すること、外用にのみ使用すること、ガーゼや脱脂綿に浸して患部に貼付しないことも示されています。「塗る薬」であることと「湿布のように貼り続ける薬ではない」ことを分けて伝えると、誤使用を防ぎやすくなります。
説明例としては、「手足のひびや皮むけに対して、皮膚を軟らかくし、乾燥を防ぐ薬です。指示された回数で患部に塗ってください。赤くなったり刺激を感じたりしたときは、無理に続けず相談してください」と伝えられます。適応、目的、使い方、中止の目安を一続きに説明でき、患者が自宅で判断する際にも役立ちます。
一般用製剤の案内では、誤って目に入った場合は、すぐに水またはぬるま湯で洗い、症状が重い場合には眼科医の診療を受けるよう示されています。こうした誤使用時の対応も、製品の説明文書に沿って案内します。患者に説明するときは「目に注意してください」だけで終えず、実際に入った場合の初期対応まで伝えると、使用上の注意が具体的になります。
参考)ベルツ水(グリセリンカリ液)|千葉県市川市の調剤薬局|アオノ…
ベルツ水の使用方法と使用上の注意
グリセリンカリ液「JG」の添付文書に記載された副作用は、頻度不明の刺激感と発赤です。副作用が現れる可能性を踏まえて観察し、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行います。「頻度不明」は発生率が明確に示されていないという意味であり、「ほとんど起こらない」「安全性に問題がない」と読み替えて説明することは避けるべきです。
また、適用上の注意には、連用により皮膚が刺激に対して弱くなることがあるため、長期連用を避けるよう記載されています。一方、この添付文書には「何日を超えると長期連用になるか」という具体的な日数は示されていません。そのため、記事や患者説明で独自の使用期限を断定せず、使用期間、症状の変化、刺激の有無を確認しながら継続の必要性を判断するという説明が適切です。
一般用製剤の使用上の注意には、「湿潤やただれのひどい人は使用しないこと」と記載された例もあります。乾燥したひび割れに対する薬という印象だけで、湿潤やただれが強い患部にも一律に使用することは避けます。この注意は一般用製剤の説明として示されているため、医療用製剤の禁忌と混同せず、使用する製品の文書と患部の状態を照合することが重要です。
妊娠・授乳中の使用については、外用薬だからという理由だけで「無条件に使用できる」と説明してはいけません。「JG」の添付文書では、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するとされています。授乳婦については、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続又は中止を検討すると記載されています。
この授乳に関する記載は、使用する全員に一律の授乳中止を指示する趣旨ではありません。患者の状況を確認し、製品の添付文書に基づいて医師が判断する事項として扱います。また、一般用製剤で小児に使用する場合には、保護者の指導監督のもとで使用するよう案内されています。患者背景ごとの説明を省略せず、誰がどの部位に使用するのかを確認してください。
グリセリンカリ液「JG」の貯法は室温保存、有効期間は三年です。ただし、添付文書の有効期間を「開封後も三年間使える」という意味に置き換えてはいけません。実際の使用では容器に表示された使用期限を確認し、開封後の扱いや調剤時の使用期限について不明点があれば、製品情報や施設の管理手順に基づいて確認する必要があります。
グリセリンカリ液「ケンエー」の患者向け情報では、直射日光、高温、湿気、火気を避け、乳幼児・小児の手の届かない場所に保管するよう案内されています。また、簡単に燃えるため、火のそばで使用したり保存したりしないよう注意されています。自宅の保管場所を確認する際には、暖房器具の近くなどを避けることも、火気を避けるという指示の具体例として伝えられます。
参考)くすりのしおり : 患者向け情報
一般用製剤の説明では、直射日光の当たらない涼しい場所に密栓して保管し、誤用や品質変化を避けるために他の容器へ入れ替えないよう示されています。患者が使いやすさを理由に別容器へ移そうとしている場合は、その製品の注意事項を確認して説明します。製品名や使用期限が分からなくなる使い方は、薬剤の確認を難しくするため、元の表示を保持することが実務上の確認にも役立ちます。
薬剤師や看護師が使用状況を確認するときは、「ベルツ水を使っていますか」という質問だけで終えず、販売名、使用部位、一日の回数、使用開始時期、刺激感や発赤の有無を把握すると、添付文書の注意事項と照合しやすくなります。とくに長く使用している患者では、効果だけでなく刺激症状の変化も確認し、長期連用を避けるという注意を具体的な服薬支援に落とし込みます。