

ヒアルロン酸点眼には、コンタクトレンズを装用したまま使用できる製品があります。ただし、ヒアルロン酸という有効成分名だけで、すべての製品について使用可能と判断することはできません。医療従事者が患者から質問を受けたときは、製品別確認を基本とし、点眼薬の正式な販売名、濃度、容器の種類、装用しているレンズを確認します。例えば、市販薬のヒアレインSは、カラーコンタクトレンズを除くソフト・O2・ハード・使い捨てコンタクトレンズの装着中に使用できると、製造販売元が明示しています。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
一方、医療用ヒアレインの効能・効果には、コンタクトレンズ装用などの外因性疾患に伴う角結膜上皮障害が含まれています。ここで区別したいのは、「コンタクトレンズが関係する角結膜上皮障害を治療する」という適応と、「その製品を、どのレンズの装用中に使用できるか」という使用条件です。適応にコンタクトレンズ装用という言葉があることだけを根拠に、個々の製品の装用中使用まで一律に保証する説明は避けます。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
精製ヒアルロン酸ナトリウムは、多数の水分子を保持することで保水性を示します。また、医療用ヒアレインの電子添文では、フィブロネクチンとの結合を介して上皮細胞の接着・伸展を促進すると考えられることが示されています。したがって、単に「レンズの滑りをよくする目薬」と説明するのではなく、眼表面の水分保持や角結膜上皮障害の治療という位置付けを、対象製品の承認内容に沿って伝えることが重要です。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
参天製薬:ヒアレインSの製品情報とコンタクト装用中の使用
服薬指導では、まず「ヒアルロン酸の目薬」という患者の表現を、実際の商品名に置き換えます。次に、通常の透明なレンズなのか、着色されたカラーコンタクトなのかを確認します。ヒアレインSでは、ソフトレンズに対応していてもカラーコンタクト装着時は使用しないという条件があるため、「ソフトレンズだから使える」という説明だけでは不十分です。毎日交換する使い捨てレンズであっても、カラーコンタクトに該当すれば同じ注意が必要です。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| ヒアレインSと通常のコンタクト | カラーコンタクトを除くソフト・O2・ハード・使い捨てレンズ装着中に使用可能 | 製造販売元が示す対象レンズを確認する。 |
| ヒアレインSとカラーコンタクト | 装着したままでは使用しない | 通常のソフトレンズに対する説明と区別する。 |
| ヒアレインSの添加物 | クロルヘキシジングルコン酸塩液などを含む | 装用中に使えることと、防腐剤無添加であることは同義ではない。 |
| ヒアレインSミニ点眼 | カラーコンタクト装着時は使用しない | 開栓後は薬液が残っていても廃棄する。 |
| 医療用ヒアレインミニ | 保存剤を含有せず、開封後は1回きりで使用する | 最初の1~2滴を捨て、使用後の残液は廃棄する。 |
保存剤の有無は重要な確認事項ですが、それだけを使用可否の判定基準にしてはいけません。実際に、ヒアレインSの多回使用容器にはクロルヘキシジングルコン酸塩液が配合されていますが、指定されたコンタクトレンズの装着中に使用できます。逆に、「防腐剤無添加」「ミニ容器」という特徴があっても、カラーコンタクトへの使用制限がなくなるわけではありません。ヒアレインSミニ点眼にも、カラーコンタクト装着時は使用しないという注意があります。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
医療用製剤と市販薬、通常容器と使い切り容器では、同じ成分・濃度でも使用時の指示が異なる場合があります。例えば、医療用ヒアレインミニには最初の1~2滴を捨てる指示がありますが、この手順をあらゆる点眼薬へ拡大して説明するべきではありません。患者には、手元にある製品の説明書に対応した手順を示し、別製品へ変更された場合は使い方も再確認するよう伝えます。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
医療用ヒアレインは、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ドライアイなどの内因性疾患、および術後、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装用などの外因性疾患に伴う角結膜上皮障害を対象とします。標準的な用法・用量は1回1滴、1日5~6回で、症状により適宜増減します。通常は0.1%製剤を投与し、重症疾患などで効果不十分な場合に0.3%製剤を投与するという位置付けです。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
これに対し、市販薬のヒアレインSは、目の乾き、異物感、疲れ、かすみ、ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズ装着時の不快感の緩和を効能・効果としています。有効成分は精製ヒアルロン酸ナトリウム0.1%ですが、医療用と同じ成分を含むことと、適応や使用管理が同じであることは別です。医療用の治療を自己判断で市販薬に置き換えたり、診断済みの眼疾患を市販薬だけで管理したりする説明にならないよう注意します。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
コンタクト装用患者に対する有効性については、医療用ヒアレインの電子添文に国内第III相試験が掲載されています。コンタクトレンズ装用に伴う角結膜上皮障害患者51例を対象とし、原則としてレンズを装用したまま、ヒアレインミニ0.1%または基剤を1日6回、両眼に2週間点眼した試験です。改善率はヒアレインミニ0.1%群で50.0%、12/24例、基剤群で30.4%、7/23例であり、有意な改善が認められたと記載されています。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
この結果は、対象患者と試験製剤を明確にして紹介する必要があります。登録された51例と、改善率の分母である24例・23例は同じ数ではありません。また、試験で副作用が認められなかったとしても、すべてのヒアルロン酸点眼製剤、すべてのレンズ素材、長期間の装用に対する安全性を一括して保証するデータではありません。医療従事者向けの記事や患者説明では、成分全体の印象ではなく、どの製剤をどの条件で評価した結果なのかを併記します。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
KEGG MEDICUS:医療用ヒアレインの電子添文情報
点眼指導では、まず製品に定められた1回量と1日の回数を具体的に伝えます。ヒアレインSは1回1滴、1日5~6回であり、製造販売元は、多く点眼しても目からあふれてしまい効果は変わらないと説明しています。「乾くたびに何滴も追加する」という使い方ではなく、用法・用量を守って使用することが基本です。医療用の場合は、処方された回数や医師の指示に合わせて説明します。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
容器の先端を目やまぶた、まつ毛に接触させないことも重要です。ヒアレインSでは、目やにや雑菌の混入によって薬液が汚染・混濁することがあるため、混濁した薬液は使用しないよう注意されています。患者が点眼しにくいと訴える場合は、単に回数だけを確認するのではなく、容器をどの位置で持ち、先端を眼表面に近づけすぎていないかまで、実際の動作を確認する説明が有用です。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
他の点眼薬を併用する場合、医療用ヒアレインの電子添文では、少なくとも5分以上の間隔をあけるよう指示されています。この「点眼薬同士の間隔」と、「レンズを外して点眼した後、再装用するまでの時間」は別の事項です。5分という数字を、そのままコンタクトレンズの再装用時間として説明してはいけません。再装用の条件は、使用する点眼薬の説明書や処方元の指示で別に確認します。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
使い切り製剤では、開封した容器を保存して使い回さないことを明確に伝えます。医療用ヒアレインミニは、最初の1~2滴を捨ててから使用し、開封後は1回きりで残液を廃棄します。市販のヒアレインSミニ点眼についても、一度開栓したものは薬液が残っていても捨てると案内されています。「まだ残っているから次の点眼に使える」という誤解を防ぐことが、容器の特徴に応じた指導の要点です。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
ヒアルロン酸点眼を使用していても、目のかゆみ、刺激感、充血などが出現することがあります。医療用ヒアレインの電子添文では、眼のそう痒感が1%以上5%未満、眼刺激、眼脂、結膜充血、眼の異物感、眼瞼炎、結膜炎が1%未満として記載されています。びまん性表層角膜炎などの角膜障害や眼痛は頻度不明です。異常が認められた場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこととされています。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
したがって、「ヒアルロン酸だから刺激や副作用は起こらない」「コンタクト対応だから痛くても使い続けてよい」という説明は適切ではありません。点眼開始後に新しい症状が出たのか、点眼前からの症状が悪化したのかを確認し、漫然と同じ薬の使用継続だけを勧めないようにします。特に、急な視力低下や激しい目の痛みは、市販のヒアレインSの説明書でも自己判断の使用対象から外され、医師の診療を受けるべき症状として示されています。
kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059034)
市販薬の継続期間にも注意が必要です。ヒアレインSの製造販売元は、1週間使用しても症状が改善されない場合、症状が悪化した場合、または症状の改善があっても2週間を超えて使用する場合に、医師、薬剤師または登録販売者へ相談するよう案内しています。これは「2週間までは必ず自己管理してよい」という意味ではありません。悪化したときは期間を待たずに相談し、急な視力低下や激しい眼痛があれば受診を優先します。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
医療従事者は、症状の改善とコンタクトレンズの継続装用を同じ判断にしないことが大切です。点眼薬が装用中に使用できる製品であっても、個々の患者の眼表面の状態や病状に応じた治療判断は別に必要です。説明の際は、「この製品は指定されたレンズを装着したまま使えます」という使用条件と、「現在の症状で装用を続けてよいかは診察で判断します」という臨床上の判断を分けると、製品表示の過大解釈を防げます。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)
患者対応で押さえるべきなのは、点眼薬の正式な販売名、レンズの種類、用法・用量、開封後の扱い、症状が改善しない場合の相談時期です。とりわけヒアレインSについては、カラーコンタクト装着中には使用しないこと、1週間で改善しなければ相談すること、改善しても2週間を超える使用では相談が必要であることまで、一連の説明に含めます。医療用製剤については処方内容と対象製品の電子添文に沿い、患者の手元にある製品に即した指導を行います。
santen(https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/products/brand/hyalein_s)